右翼による民間・マスコミ攻撃
右翼による民間やマスコミへの圧力や攻撃も激しさを増している。日本では多くの人が歴史修正に反対している。その中には、新聞記者、学者、会社経営者などがいる。しかしこれらの人の声は、右翼民族主義の台頭とともに、片隅に追いやられている。
環球時報の記者によれば、日本の大手マスコミも最近の新聞報道において右傾化がみられるという。保守の代表である読売新聞と産経新聞は、当然のように民族主義の主張を高め、安倍政権をしっかりと擁護している。その上、元来は中立的で理性的批判を提唱していた朝日新聞や毎日新聞、NHKまでもが安倍政権の圧力の下、次第に政府寄りの報道スタンスに転換。政府批判は全く影を潜めてしまった。特に朝日新聞はこの1年間、安倍政権から執拗な攻撃を受けた。
先のキングストン教授は、「歴史修正主義を持つ右翼は政府のバックの下、NHKをコントロール下に置き、朝日新聞をつぶした。今度は大学を標的にしている」という上智大学の中野教授の言葉を『アジア・パシフィック・マガジン』に引用している。その具体例がある。先ごろ札幌市の北星学園大学は植村隆講師を解雇した。解雇の原因は同氏を辞めさせなければ、右翼が大学に乗り込むと脅しをかけたためだ。同大学は今年の春以来、右翼による電話などの嫌がらせや脅迫を受けており、右翼はかつての朝日新聞の記者であり従軍慰安婦問題に関する記事を書いた同氏を解雇するよう求めていた。
愛知大学の中国問題専門家の加加美光行氏は、現在のマスコミのスタンスについて「親中的な意見は歓迎されなくなり、謝罪や反戦意見を表現することが困難になった。一部のマスコミは私の意見を100%掲載してくれるが、ほとんどのマスコミは、左翼的な意見を書くと、修正や削除を求めてくる」と語る。1960~70年代は日本の左翼運動の全盛期だったが、80年代以降、その規模は大きく縮小している。
右翼の民間への攻撃も力を強めている。東京では右翼による韓国人への街宣活動は恒例だが、最近の日韓関係の悪化により、特に新大久保のコリアタウンでは大きな損害が発生。街宣活動に怯えた買い物客の足が遠のき、一部の店が閉鎖に追い込まれている。
中国の抗日戦争に出演する役者も攻撃の対象である。抗日戦争で日本兵を演じる矢野浩二さんは「売国奴」のレッテルを貼られている。その一方で、神風特攻隊をテーマにした「永遠のゼロ」がもてはやされ、「日本映画による歴史修正の動きが強まっている」(米国海軍協会)と心配する声も聞かれる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年11月26日