揺らぎ始めた「平和国家」の理念
朝日新聞の9日の報道によると、日本政府は8日、自民・公明両党の関連会議で、政府開発援助(ODA)の基本方針を定めた新たな大綱「開発協力大綱」を示し、了承を得た。修正案は早くて今週にも閣議決定される見込みだ。修正案は、他国の軍隊に援助を提供する制限の一部を解禁するもので、災害救助など非軍事分野での援助について規定している。
アナリストによると、新大綱には、民間利用を目的とした物資や技術を軍事に転用することを防止する具体的な措置がない。そのため他国の軍隊に提供した物資や技術が軍事目的に利用される可能性がある。日本は政府開発援助の提供を始めて以来、60年余りにわたって他国の軍隊には援助を提供してこなかったが、この修正案は大きな転換点と言える。
安倍政権が2013年に制定した国家安全保障戦略には、積極的平和主義を前提としてODAを戦略的に利用するとの方針がはっきりと示されている。日本外務省の担当者によると、新たなODA大綱は、集団的自衛権の容認と武器輸出三原則の放棄と並んで、安倍政権の外交・安全保障政策の「第3の矢」となる。
「日本政府による武器の国際共同開発と輸出には多くの日本人が反対しているが、米国の黙認と自民党の優勢を背景として、日本は他国に武器を輸出し、武器の共同開発を展開している。数年後には、日本が世界の武器輸出大国になっていることも考えられる。日本人にとっての不安の種となるだけでなく、アジアの平和と安定にとっても脅威となる」と日本のある学者は語る。
日本の赤旗は4日、安倍政権は現在、日本が戦後守ってきた「平和外交」の道を根本から否定し、再び「戦争する国」への道を進もうとしているとの評論を掲載した。共同通信も、日本の武器輸出拡大による国際係争の助長に対する外国の懸念は打ち消し難く、戦後日本が追求してきた「平和国家」の理念は動揺し始めていると評論している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年1月13日