国際貿易投資研究所チーフエコノミストの江原規由氏は、記者の取材に応じた際に、「未来の『一帯一路』(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)は、特大規模の自由貿易区になると想像できる。中国が提唱した21世紀海上シルクロードの建設には、歴史的な意義がある」と述べた。江原氏の発言内容の要約は下記の通り。
約600年前(約15世紀初頭、中国の明朝の時代)、世界最大の商業・貿易圏がアジア太平洋で形成された。鄭和の大遠征成功により、中国はアジア太平洋諸国と積極的にパートナーシップを構築し、自由貿易を促進し、対外交流を進めた。今日のアジア太平洋自由貿易圏は、当時すでに形成されていたと言える。これはコロンブスの新大陸発見より約90年早かった。
習近平国家主席が2013年に提唱した一帯一路という発展戦略には、シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロードが含まれる。一帯一路の発展戦略は、広い範囲の共同発展を促す「偉大な計画」であり、これにはアジア太平洋、中央アジアが含まれ、欧州を貫き、さらには遠く離れたアフリカにまで達する。
その後2014年11月、主催国である中国は北京APEC首脳会議、さらにオーストラリアで開かれたG20ブリスベン・サミットで、一帯一路の構想を伝えた。21世紀海洋シルクロードは、鄭和の大遠征の現代版のようだ。
アジア太平洋の国と地域には、信仰、民族、経済発展水準の差が存在し、ゆえに共同発展の実現は容易なことではない。これらを背景としながら、中国が21世紀海上シルクロードの建設を提唱したことには、歴史的な意義がある。21世紀海上シルクロードは、アジア太平洋の共同発展に新たなルートを提供した。これは自由貿易区を拡張する計画と言える。
中国が強調する共同発展の革新的な計画は、まず相互接続、つまりインフラの整備を実現しなければならない。中国はこれに向け、アジアインフラ投資銀行(AIIB)とシルクロード基金を設立した。一帯一路は、特大規模の自由貿易区になると想像できる。
しかしアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)と同様、一帯一路のルートマップが示される前に、多くの紆余曲折を経ることになる。一帯一路という自由貿易区の枠組みは、すべての関連国の標準・条例に合致し、発展の不均衡による不利な要素を克服する必要がある。さらにハードルの低い標準・規則の制定が必要だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年2月13日