文=ラナ・ミッター
東南アジアの国際秩序が確立されていない大きな原因のひとつに歴史問題がある。戦後70年を迎え、その戦争をどう理解するのが正しいかについて中日両国民の間で見方が分かれている。何十年も前の戦争がなぜ現在のアジアを主導しているのだろうか。その原因を調べるとともに、戦後の「未完の事業」を再認識する必要がある。時代はアジア地域の変化を考えなければならなくなっている。
アジアで2度と戦争を起こしてはならず
中国や日本、東南アジアのその他の国が第二次世界大戦に対する共通認識を探し求めようとしている中で、各方面に大きな意見の相違が存在している。日本では一部の右翼政治家が行動を起こしているが、彼らが主張している戦争の記録は正しものではない。日本の多くの歴史学者や教師、記者は日本の戦争時にアジアで犯した罪を明らかにしている。
韓国も日本に疑心を抱いている国である。韓国は日本の植民地時代の歴史について決して良いイメージを持っていない。冷戦時においても日本に対して憤りを感じていた。韓国の態度によって東南アジア地域の関係が絶えず変化する。10年前、日韓の文化交流は大きく緩和されたが、この20年間、韓国はますます中国に接近している。
しかしながら、中国の過去の歴史に対する考え方は、その他の隣国とは異なるものである。まず中国の広大な土地と人口が意味するように、その政策と思想が作りだす効果は小国に真似できるものではないことだ。中国がアジア地域の大国になるにつれ、時には「引くをもって進む」ことも考えなければならない。小国の観点をかえることである。そうしてこそ武力をベースとした権力でなく、共通認識をベースとした権力が構築できるのである。先日ソウルで行なわれた中日韓の3国外相会議で示されたように、各国は武力でなく創造性外交を行なおうとしている。
こんご数年、歴史に関する議論がますます激しくなることは間違いない。その中で中国がアジアの開放のために行った貢献が、現代の歴史の共通認識の重要部分を占めるであろう。しかし最も重要なことは、各方面が責任のある態度でその歴史貢献の意義に対応することであり、アジアで2度と戦争を起こしてはならないということである。(作者は英国オックスフォード大学中国研究センター主任、教授、著書に「中国、忘れられた友人、西洋人から見た抗日戦争全史」)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年4月8日