昨年4月に国賓待遇で日本を訪問した米国のオバマ大統領は、日本に期待をこめ、釣魚島の防衛は「日米安保条約」の適用対象であると明言した。だがこの贈り物は「お返し」を受け取ることはできず、日本がTPP(環太平洋経済連携協定)の農業と自動車の問題で米国に譲歩することはなかった。立腹したオバマ大統領は安倍首相との寿司店での会食も気まずく終わり、中国・米国・日本の関係の「リバランス」が模索され始めた。
長期にわたる発展のプロセスを経て、一部の東アジアの国は、「安全面では米国に依存し、経済面では中国に依存する」という板挟みの状況に置かれるようになった。米国が東アジアの主導権を維持するにはマイナス要素となる。米国の当初のリバランス戦略の重要な任務の一つとなったがのが、貿易・産業チェーンにおける東アジアの国と中国との密接な関係を分断することだった。この目標を実現する手段として構想されたのが、中国を排斥するTPPであり、この貿易協定は金融危機後の米国経済を刺激する手段とも目された。TPPは中国の東アジアにおける主要な貿易パートナーを取り込もうとするものだった。日本はTPP成功の重要なエレメントであり、日本が参加しなければTPPを成功させることはできない。だが日米両国の交渉の長期化は、オバマ政権が国内向けに実績をアピールする際の弱みとなる。農業と自動車の関税について日本の妥協を引き出せないことに、米国は頭を悩ませている。