国連ユネスコ「世界遺産リスト」への早期産業地域の登録を進めている日本に、韓国が反発を強めている。韓国側によると、同地域の炭鉱や造船所などは、朝鮮半島から日本に強制徴用された労働者の血と涙が流れた場所でもある。世界遺産申請は、日本の近代の対外侵略・拡張の歴史を正当化するものとなる可能性がある。
韓国聯合ニュースの21日の報道によると、韓国外交部はすでに専門チームを派遣し、世界遺産の登録阻止を進めている。
申請は「道徳問題」
聯合ニュースによると、日本の早期産業地域の世界遺産申請は、「慰安婦」問題に続く第二の「歴史戦」となる。今回の戦いは国連ユネスコを外交の舞台に繰り広げられている。
申請されている世界遺産は23カ所からなり、日本側には「明治の産業革命」のシンボルとされている。聯合ニュースによると、この地域の多くの炭鉱や造船所では朝鮮半島の数万人にのぼる労働者が厳しい労働を強いられ、血と涙を流した。
韓国外交部は声明の中で、日本によるこの地域の世界遺産申請は「道徳問題」にかかわるものだとし、日本側のやり方に強く反発している。声明はさらに、「隣国の痛々しい歴史が残る施設の世界遺産登録はユネスコ世界遺産制度の基本精神に反する」と指摘している。
韓国のある高官は、ポーランドのアウシュビッツ収容所跡が1979年に世界遺産登録された例はあるが、日本の今回の申請とは比較できないものだと語る。ドイツの指導者は、ナチスの帝国が第二次大戦中にユダヤ人を虐殺したことを深く反省し、心から謝罪しており、アウシュビッツ収容所跡は人々が歴史を忘れず、誤ちを繰り返さないための証拠となっている。だが日本が行っている産業地域の申請は「これとは状況がまったく異なる」。