イギリス紙「フィナンシャル・タイムズ」のウェブサイトは先ごろ、「中国は次の日本になるのか」と題した記事を発表した。作者はメリン・サマセット・ウェブ記者。それによると、どの国の株式市場の投資家も、市場の成長初期にタイムスリップする夢想を持つものだと言う。もし成長前夜の株式市場へタイムスリップできるとしたら、どこがいいか。もし私なら日本を選ぶだろう。
作者は1950~1960年代の日本にタイムスリップしたいという。そして驚くべき経済成長の速度をこの目で見たいそうだ。この時代、日本の平均経済成長率は9%を超えていた。1955年には戦前のGDP水準に回復し、1959年から1961年は、日本銀行のデータを見る限り、経済成長率が15%超という驚くべき数字を残した。
当然ながら、当時の人々に不安がないわけではなかった。1960年初頭、日銀総裁の山際正道氏は手紙の中で、鉄鋼産業は生産過剰でインフラ投資も足りない上、貿易自由化を迫られており、焦りを隠していなかった。しかし日本経済は依然として飛ぶような成長を続けた。その後も10年間、GDPは8%の成長を続け、世界をやや不安にさせるほどだった。
ただし日本の株式市場は、ほとんど経済成長を無視しているかのようだった。図にあるように1950年代以降の市況を見ると、1970年代初頭から常に上昇を続け、その上昇幅に関心を持つ人もいなかった。しかし、全てが変化した。1970年代(その多くの時間で不況となり、経済活動の見直しが行われた)と1980年代の平均経済成長率は4.2%に落ち込んだ。にもかかわらず、その後の日本の株価は突然高騰し始めた。株式市場は10年前の3倍に膨らみ、10年後から見れば9倍に膨らんだのだった。1985年、勇敢な投資家によって日本の株式市場はアメリカ株式市場のリターンの20倍にまでなった。