平和憲法
安倍首相は今年の国会会議で日本自衛隊を「我が軍」と呼び、波紋を広げた。米議会演説では、今年夏までに安保法制の関連法案を通過させると米国議員に約束して帰って来た。
「戦後70年、日本は一貫して平和を守り、一度も戦争に参加していない。日本は専守防衛政策を取っている。日本自衛隊はこの方針を前提に発展して来た」。村山氏は、自衛隊の海外派遣に断固反対の立場を取っている。
現在の日米安保条約においては、日本が米国に軍事基地を提供し、日本が軍事攻撃を受けた時には米国が日本を守ることになっている。安保条約の範囲を拡大し、より多くの軍事的責任を日本に負担させることは、日本の平和憲法に反するものだと村山氏は言う。
「日本がほかの国に侵略・攻撃されることを仮定して未来の方針を決めるよりは、日本が侵略と攻撃を受けないにはどうすればいいかを考える方が先決だ」と村山氏は指摘する。
平和な環境をいかに形成するかについて、村山氏は、もしも日本が平和を守り続け、軍事力を持たず、海外派遣をしなければ、日本が侵略されることはないと語る。「現在、(日本政府は)釣魚島問題であれこれと言っているが、中国がこれらの島のために日本を侵略することはあるだろうか」と村山氏は言って、「そんなことは考えられない」と記者に笑いかけた。ほかの国が侵略してくると想定して日本が対応を続ければ、ほかの国もこれに応じて政策を調整せざるを得なくなる。そうなれば緊張は高まる。だが日本が平和憲法と専守防衛を守り、ほかの国々に「戦争は必要ない」というシグナルを与えれば、ほかの国が日本を脅かすこともなくなり、相互に良好な循環が生まれる。「だからこそ平和憲法を全面的に継承することが重要になる」。
平和憲法を守ろうとする日本の民間組織の行動を村山氏は高く評価している。日本の市民の中には、平和憲法へのノーベル平和賞授与をノーベル委員会に申請し、安倍政権の憲法改正を阻止しようという動きもある。
「こうした努力は非常に重要なもので、日本憲法改正に対する日本の民間の危機意識を表している。一内閣が憲法の解釈を勝手に変えることを日本の憲法は許していない。国民投票なしに(関連法案を)国会で強行採決するなら、国民はこれに明確に反対を突きつけるために立ち上がる必要がある」
村山氏は、安倍政権が庶民の危機感をあおって改憲を進めることに断固反対している。喫緊の課題は、相互の危機感と敵対感情を緩和することだ。
「これは私にとって最も重要な任務であり、最も重要な課題だ。可能であれば中国を訪れ、中国側とこの問題を話し合いたい」。村山氏は、自分の体はまだまだ元気だと笑った。