米日の中国けん制、時すでに遅し
米国と日本の首脳の説明に含まれる焦りは、中国のアジアにおける台頭を懸念しているという事実を反映した。経済的側面を見ると、米国は中国が主な出資国であるアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を重要な同盟国に思いとどまらせることができないという屈辱を受けた。いまや米国はAIIBが、中国が提唱する「一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)」構想を促進するための手段になることを危惧している。この構想は、中国を中心としてアジア太平洋地域を跨ぐ、新たなインフラ網を築くというものだ。
TPPは戦略的期待に応えられない。まず、参加する12カ国が合意できるかも、国内で議決できるかも不明瞭だ。オバマ大統領の議会での苦戦は、十分な警告を発した。
より重要なのは、アジア経済において中国がその中核になることを阻止するには、もう手遅れだということだ。中国はすでにTPPの重要交渉国(日本、シンガポール、オーストラリアなど)の最大の貿易相手国になっている。そして米国にとっても中国は2番目の貿易相手国だ。中国はTPP交渉に参加していないアジアの主要2カ国、韓国とインドの最大貿易相手国でもある。オバマ大統領は先週、議会でTPPを存続させるべく取り組んでいたが、インドのナレンドラ・モディ首相は訪問先の中国で、220億ドルにのぼる合意や覚書に調印した。
米国は依然としてアジア太平洋地域において支配的な地位を占める軍事強国だが、中国はいまや地域の優れた経済強国となった。TPPにはこの現状を変えるだけの影響力がなく、時すでに遅しだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月20日