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中期的な戦略的意図
日本が南中国海という「カード」を切る中期的な狙いは、中国の注意力と軍事力を南中国海のけん制に向けさせ、日本の東中国海および釣魚島(日本名・尖閣諸島)周辺海域における圧力を軽減することだ。中国が手が回らないうちに、沖縄などの南西の海域で軍事力の配備を加速し、日米の訓練・軍事演習を強化しようというのだ。
中谷元防衛相は5月26日、日本経済新聞の取材に応じた際に、日本にとって南中国海は石油の輸送に用いられる重要なシーレーンだと述べた。中谷防衛相は、「周辺情勢および日米間の議論に基づき、南中国海で日米防衛協力を推進することを検討する」と表明した。南中国海問題はまた、安保関連法案の国会審議の焦点となっている。中谷防衛相は6月5日の国会答弁で、集団的自衛権の行使に関する新たな3要件を満たせば、法理的には南中国海問題にも自衛隊の集団的自衛権の行使を容認する「存立危機事態」を適用できると答えた。
日本華人教授会元会長、東洋学園大学教授の朱建栄氏は、「日本は現在、南中国海問題で2つの考えを持っている。まず、中国の軍事力は現在、東中国海と南中国海の両面で作戦を展開することは不可能と判断している。中国を南中国海で足止めすることで、中国が東中国海で日本に正面から加える圧力を和らげることができる。次に、自衛隊の南中国海への直接的な介入を極力回避するが、米国の需要など必要な場合は、科学調査と称して自衛隊の軍機を南中国海に派遣し、米軍と巡航する可能性がある。こうすれば米国に対しても申し開きができ、中国とも駆け引きを展開できる。中国が強い反応を示せば、科学調査は一度で十分と言い逃れできるが、先例を作ることでその後さらに機を伺い出動させることも可能だ」と分析した。
朱氏は、「日本がどのような名目で自衛隊を南中国海に派遣しようとも、中国から全面的に反発を受けるだろう。自衛隊が科学調査を名目に南中国海に入った場合も、中国は科学調査を名目に軍機を派遣し、日本の近海を巡航することができる」と述べた。