日本の岸田文雄外相(右)は東京の飯倉公館で21日、韓国の尹炳世外交部長官(外相)と会談した。
日本と韓国は50年前の1965年6月22日、「日韓基本条約」を締結し、韓国が1910年に日本の殖民地となって以来の国交正常化が実現された。だが半世紀を経た今日、歴史をめぐる摩擦や領土争いなどを抱える日韓関係は、国交正常化以来最悪とも言われる谷底に落ち込んでいる。
日韓関係が抱える問題の根
日韓両国の有識者は近年、国交正常化の基礎となった「日韓基本条約」とその付帯協定である「日韓請求権協定」に改めて目を向け始めている。歴史学者のほとんどは、日韓国交正常化は冷戦という背景と米国の強い圧力の下で実現されたという理解で共通している。米国は冷戦の必要から、殖民統治に対する日本の清算と賠償を求める韓国の政府と国民の声を抑えつけた。その結果、1910年の「日韓併合条約」が持っていた殖民統治という性質に対する「日韓基本条約」の位置付けははっきりしないものとなり、「日韓請求権協定」は殖民統治の被害者の声を無視するものとなった。このことは両国のその後の関係に大きな禍根を残した。
冷戦が終わってまもない1990年代には「慰安婦」問題が表面化した。このことはある意味で、日韓両国に歴史を振り返る契機を与えた。1993年の「河野談話」と1995年の「村山談話」は、戦後の日本政府の歴史認識の模範となった。だが両談話は発表からすぐに右翼保守勢力の猛烈な反発を受け、元「慰安婦」らの責任認定や謝罪、法定賠償、歴史教育の要求も本当に実現されることはなかった。50年前に米国が締結を迫った日韓国交正常化条約はその後、日本政府が歴史の責任を不明確にし、韓国の「慰安婦」と強制労働被害者への賠償を拒否する盾となった。