安倍政権の発足後、歴史問題についての大逆行が続けざまに起こった。A級戦犯をまつる靖国神社を参拝した上、「河野談話」「村山談話」を表面的には継承すると言いながらこれを実質的には骨抜きにする発言を繰り返した。歴史問題は再び、日韓関係と北東アジア地域の情勢を混乱させる大問題となった。韓国では、存命の「慰安婦」らが高齢化する中で、歴史の責任を逃れようとする日本の姿勢に焦りと怒りが高まっている。
日韓の歴史をめぐる争いが膠着状態に陥るのを見て、再び姿を現したのが「アンクル・サム」(米国の擬人化)である。今年5月に韓国を訪問したケリー米国務長官は韓国と日本に対し、歴史問題を克服するために対話を始めるよう公に促した。日本メディアによると、尹炳世外相が日本訪問もケリー国務長官のこの発言を受けたものだという。
だが米国を動かしているのは今回も50年前と同様、歴史への客観的な態度ではなく、自身の利益の配慮である。
50年前、米国は冷戦の必要性から韓国側の声を抑え込み、日本の殖民統治の責任逃れを事実上助けた。50年後の今日は、「アジア太平洋へのリバランス」戦略の必要性に駆られ、本国の利益を歴史の正義の上に置き、歴史を歪曲する安倍政権の挙動を見て見ぬふりし、歴史の徹底的な精算を求める韓国の正当な声を一方的に抑えつけている。
しかし50年前の妥協が禍根となったのと同様、日韓の歴史問題はこのまま消えるわけではない。安倍政権が歴史修正主義の言動を繰り返す中、米国は自身の利益だけしか見ず、歴史問題そのものの是非を不問にし、私益で公理をねじまげ、日本と韓国の連携を力ずくで進めている。その結果が今後、大きな災いとなって帰ってくることは間違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年6月23日