日本は中国にとっての重要な隣国である。二千年余りにわたって、双方はほとんどの期間、平和的に付き合い、互いに学び合い、友好的な交流史をともにしたためてきた。だが近代に入って、日本は軍国主義拡張の道を歩み、野蛮な侵略戦争を発動し、中国や韓国、アジアのその他の国・地域にかつてない災難をもたらし、悲惨で深刻な教訓を残した。(文:沙祖康・元国連事務次長)
とりわけ1937年12月に日本の侵略軍が南京で行った、人間性を喪失した大虐殺では、30万の命が殺戮(さつりく)に遭った。日本の侵略者が中国人に対して犯した罪は、人類史上最も野蛮で、最も残酷な1ページを刻んだ。
だが抗日戦争後、中国の政府と人民は、徳によって恨みに報い、寛容な態度を取り続けてきた。歴代の指導者は、「区別して扱う」という政策を主張し、日本の軍国主義分子と広大な日本人民とを区別し、戦争犯罪者と普通の将兵を区別しなければならないと強調した。中国側はさらに、百万の日本人の帰国を助け、千人余りの日本の戦犯を寛大に処理し、釈放した。中国側は、日本に対して「歴史のカード」を切ったこともないし、歴史問題で日本を困らせる意図もない。今日に至るまで日本が歴史問題の重荷を背負っているのは、日本自らが歴史問題について信頼できる発言をせず、軽率に立場を変え、アジアの国々と国際社会の日方に対する強烈な疑いと不信任を引き起こしているからにほかならない。
歴史問題は、13億の中国人民の感情にかかわる問題である。日本の軍国主義の侵略の歴史に正しく向き合い、これを深く反省することは、中日関係の重要な政治的土台である。近年、中日関係はしばしば行き詰まってきたが、その主要な原因の一つは、日本側が歴史問題について繰り返しもめごとを起こしてきたことにある。日本の指導者は、第二次大戦のA級戦犯がまつられた靖国神社に強引に参拝し、「侵略の定義は定まっていない」と主張し、「村山談話」に疑義をはさみ、「慰安婦」問題を歪曲している。こうした言動は、歴史の正義と人類の良知に公然と挑戦するものであり、中国や韓国などの被害国の国民感情をそのたびに傷つけてきた。