こうした地道な努力を経た上で、翻訳作業で最も苦労したのは「自分一人で何度も読み直していると、間違っている箇所に気づきにくくなること」。そこで小室さんは、頼りになる友人に訳文を読んでもらい、その上で「日本語の不自然な点やミスを指摘してもらい、うまくカバーすることができた」と友人の協力も得て、最終的に完訳したことを振り返った。
さらに出版翻訳に携わり、一番うれしかったことは「自分の家族に堂々と自分の仕事の成果を見せることができること」と強調。これからも、通常業務であるビジネス翻訳を「シャドウ」(裏方)として続けながら、「時々は表に顔を出せる『出版翻訳』に携われるよう、より一層精進していきたい」と、新たな抱負を語っていた。
このあと、第3回翻訳新人賞の授賞式が行われ、『中国発展報告―最新版』の訳者、平間初美さん、『中国出版産業データブックVol.1』の共訳者、井田綾さんと舩山明音さん、そして『一角札の冒険』の訳者、小室あかねさんにそれぞれ翻訳新人賞が授与された。
参加者による記念写真(段躍中撮影)
また、日中翻訳学院受講生・修了生による中国書籍翻訳の進捗状況がそれぞれ報告されたほか、日本僑報社より最新中国書籍の翻訳企画を紹介。書籍翻訳に新たに挑む翻訳者を募集した。
続く懇親会では、よりよい翻訳のノウハウなどについて、講師や参加者が自由に意見を述べ合った。
【第3回翻訳新人賞受賞者】
平間初美さん=『中国発展報告―最新版』訳者
http://duan.jp/item/178.html
井田綾さん、舩山明音さん=『中国出版産業データブックVol.1』訳者
http://duan.jp/item/180.html
小室あかねさん=『一角札の冒険』訳者
http://duan.jp/item/190.html
「北京週報日本語版」2015年8月10日