衆議院での審議では、「理論戦」が主な内容だった。日本が直面しているいわゆる「現実的な脅威」については、せいぜい朝鮮を「ターゲット」とするだけだった。中国に対する批判では、意図してかせずしてか自制的な姿勢を示した。だが参議院に移ると、状況に変化が生じた。「中国脅威論」は、安倍首相がよく口にする「論拠」になっている。
安保関連法案は衆議院で強行採決されたが、依然として長い道のりを経る必要がある。また安保関連法案はある意味、すでに「非難の的」になっている。これについて、安倍首相は心の中ではよく理解している。安倍首相が論戦の後半に「中国脅威論」を掲げたことは、少なくとも3つの問題を示している。
まず、日本の政権は中国の脅威の誇張、中国の平和的な発展の歪曲を主な政治的手法とし、国内の多くの政治勢力と日本国民の理解と支持を得ようとしている。
次に、安倍首相の論戦の手段は「憲法論」から「現実論」への移り変わりを初めており、より高い効果を求めている。違憲か否かという問題については、学術的・法的に明らかにされている。安倍首相は違憲という事実について、自身のシンクタンクの学者からも多くの圧力を受けた。国民に対する説得力を増すためには、現実的な需要が最も効果的だ。