今回の訪問による日露関係の悪化について、プーチン氏は織り込み済みとみられる。日本は欧米と比べて軽い制裁にとどめている。今後も日本側から関係を絶つ動きが出ないことをロシア側は計算に入れている模様だ。だが、ロシア側からすれば、「欧米と足並みをそろえて制裁を科すこと自体が非友好的行為」(外交筋)と映るのも事実で、パノフ元駐日大使は「そんな状況で大統領が訪日する意味はない」と指摘する。
メドベージェフ首相が訪問したことで日本国内のロシアに対する反発が強まるのは必至だ。だが、ロシア側との交渉が閉ざされれば北方領土交渉は暗礁に乗り上げる。日本政府は日露関係の進展を図る基本方針は維持する考えで、今後は国内世論とロシア側の動向を慎重ににらみながらの厳しい交渉を強いられることになりそうだ。
日露間では今年の「適切な時期」のプーチン大統領訪日で合意している。日本政府は、対日関係を重視するプーチン氏が大統領の間に領土問題の解決へ糸口を探りたい考えだ。
ロシースカヤ・ガゼータ紙は8月24日、次のように伝えた。
メドベージェフ首相が22日に択捉島に再上陸し、ロシアと日本の外交の争いを引き起こした。両国は相手国が建設的な立場をとっていないと批判し合った。事態の成り行きは、プーチン大統領の今年中の訪中が難しいことを示している。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センター長のワレリー・キスタノフ氏は、プーチン大統領の訪日は不可能と判断している。これでバツをつけられないとしても、少なくとも大きな疑問符がつけられるというのだ。
キスタノフ氏は、「日本人は最近、ロシアの南クリル諸島および日本全体に対する態度が強硬になっていることに気付いている。そこで日本人は、ロシアは日本との経済発展と極東の開発のみに興味を持ち、政治問題で日本に迎合するつもりはなく、南クリル諸島を日本に返還するつもりはまったくないという結論を導き出した。日本人は四島返還を求めている。彼らはプーチン大統領とこの問題について話そうとしている。日本人は先ほど、プーチン大統領の訪日中の議題に、四島の帰属の問題が含まれるかの確認を求めた」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年8月25日