(二)日本はロシアを戦略的に信頼しておらず、ロシアの領土問題解決の誠意を疑っている。
18世紀後半より、日本はロシアを戦略的に信頼していない。まだ鎖国を実施していた日本は、ロシアという強い隣国の南下を不安視し、危惧していた。時代の流れとともに、日本のロシアに対する戦略的な不信感が強まった。日本国内には現在、次のような観点がある。ロシアが南クリル諸島問題解決の姿勢を示しているが、その真の目的はこれを餌に日本を抱き込み、日本との経済協力を実現することだ。日本へのエネルギー資源の輸出を拡大し、経済的利益を得る一方で、日本から技術と資本を導入し、ロシア国内の経済を改善する。こうして日露間の領土問題を二の次にし、長期的に棚上げにし、徹底的な解決を不可能にする。日本はロシアが領土問題を永久に棚上げにする可能性を強く懸念しているが、これは日本のロシアに対する不信感を反映している。
(三)日本の日露関係の処理は米国から強い影響を受ける。その国益と米国の戦略的目標の間には消しがたき矛盾がある。
日本は戦後、対露関係を処理する際に米国の介入を受け、独立性を持てなかった。米国は冷戦後、国益と戦略的な需要に基づき、日本に対露関係を適時調整するよう求めた。ロシアとの接触を増やし領土問題を解決することは、日本の国益にかなっており、日露両国の経済協力の推進にとっても有利だ。しかしながら、米露関係は現在緊張化している。米国は日本とロシアの歩み寄りを望んでおらず、プーチン大統領を招こうとする日本の取組みについても小言をいっている。米国は日本が西側諸国とロシア制裁に加わることを願っており、ウクライナ問題で「言いなり」になるようロシアに迫ろうとしている。日露関係における日本の国益と米国の戦略的目標は相矛盾している。日米関係の深化によって、日本は日露関係の改善の推進が困難になっている。
日本は対露関係で確固たる姿勢を示しておらず、両国関係の短期間内の改善は困難だ。プーチン大統領が日本側の要望に応じ年内に訪日したとしても、領土問題の画期的な進展はありえないだろう。ゆえに日露関係は、安倍政権が「外交の成果」を手にする突破口にはなりがたい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年8月28日