ロシアのメドベージェフ首相はこのほど、日露が係争に陥っている南クリル諸島(日本名・北方四島)の視察を行い、択捉島で開かれた「全ロシア青年教育フォーラム」に出席した。メドベージェフ首相がロシア首脳として南クリル諸島に上陸するのは、これが3回目。メドベージェフ首相のこの動きは日本の世論から批判されており、安倍晋三首相および外務省も「極めて遺憾」という立場を表明し、さらには岸田文雄外相の訪露日程の延期を検討するとした。日露関係は再び苦境に立たされた。
メドベージェフ首相は、露日関係と南クリル諸島を結びつけるべきではないとしているが、日露関係の発展は領土という問題を避けては通れない。日露関係改善の主導権は日本側に握られているが、主に次の3つの原因により、日本は両国関係を改善できていない。
(一)日本は領土問題の一挙解決を目指しており、ロシアの立場とかけ離れている。
領土問題は重要な国益に関する問題だ。領土問題が解決されない状況下、係争を棚上げにし、両国の経済協力を優先的に発展させることが、両国関係を改善する重要な手段だ。日露の南クリル諸島の係争は、残された歴史的問題である。両国はこれまで、双方が満足できる解決策を導き出せなかった。安倍首相は再任後、日露の領土問題の解決を、重要な外交の課題とした。しかし日本は同問題の一挙解決を願い、ロシアに全島「返還」を求めている。ロシアは南クリル諸島の問題を棚上げにし、日露の経済協力を推進しようとしている。そのため領土問題は、日露関係の解決できない問題となっている。