2014年9月、日本の常任理事国入りを目指す安倍晋三首相は国連でスピーチをし、二度と戦争を起こさないとした上で、国連に対する日本の貢献を強調した。また、潘基文事務総長と会談した際、潘事務総長に国連改革を支持してほしいと表明し、日本の常任理事国入りの意向を示した。それについて、安倍首相は「来年は国連成立70周年にあたる。国連を21世紀に適応させるため、日本は他国とともにリーダーシップを発揮する」と述べた。
一年が経ち、国連は成立70周年を迎えた。9月、安倍氏はニューヨークで国連総会に出席する。安倍氏は総会で、再び安保理拡大をはじめとする改革案を主張し、日本の国際地位を高めることによって世界で「リーダーシップ」の発揮を目指すと予想される。
しかし、現在の日本は国連でさらに大きな役割を果たし、世界で「リーダーシップ」を発揮することができるのだろうか。
答えは「ノー」である。
現在日本をリードする政治家は、国連が示す歴史的意味合いと大切な時代の意味を理解せず、理解しようともしていない
国連は第二次世界大戦(WWII)後の国際秩序を守り、同盟国が世界反ファシズム戦争に勝利して生まれたものである。5つの常任理事国はWWIIの主な戦勝国であり、その大きな貢献があるゆえに常任理事国になった。日本の指導者は当時の歴史に直面しようとせず、その歴史的意味合いも理解していない。
WWIIの中から誕生した国連は反ファシズムと反軍国主義の重要な成果であり、不幸な歴史を繰り返さないための重要なメカニズムでもある。しかし、日本の指導者はこのメカニズムに目を向けようとしていない。