▽世論のチカラ
10年後、少しでも「白い未来」に近づくには、今の両国の指導者が政治的な決断が行い、関係改善への道筋を付ける必要があるだろう。昨年11月の安倍晋三首相と習近平国家主席の首脳会談以来、日中関係は改善の流れに入った。今年5月、習主席は日本の訪中団を前に重要演説を行い、日中友好の重要性を訴えた。習氏が対日政策について、本格的な演説を行ったのは就任後初めてであり、両国関係を修復したいとの明確なシグナルだった。
安倍首相は8月14日に発表した戦後70年談話に「植民統治」「侵略」「反省」「おわび」という四つのキーワードを盛り込み、1995年の村山富市首相談話など、侵略戦争への反省とおわびを明記した歴代内閣の立場を引き継ぐと表明した。自分の言葉では謝罪しておらず、被害国の中国や韓国を十分納得させうる内容ではないが、安倍首相の歴史認識のあいまいさや、首相の強硬な一部支持層の圧力を考えれば、日本国民のリベラルな世論をかなり配慮したとも解釈できる。
私は一連の論説記事で、首相談話について「植民地支配と侵略戦争について反省とおわびを明記し、中国、韓国との関係を改善すべきだ」と主張してきた。共同通信が今年5~6月に実施した世論調査では、談話に「おわびを入れるべきだ」との回答が67%を占めていた。談話はこうした世論が安倍首相を動かした結果とも言えるのだ。中国の国民や指導者は多くの日本国民の正しい歴史認識を考慮して、日本との和解を進めてほしいと思う。また安倍首相は自らの言葉と行動で談話の不十分さを補う必要があろう。
▽胸襟開き会談を
中国は9月3日、「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念式典と軍事パレードを盛大に開催した。安倍首相は参加を見送ったが、習主席と韓国の朴槿恵大統領は式典前日の会談で、10月末にも日中韓首脳会談を開催する方針で一致し、日本の菅義偉官房長官も前向きな考えを示した。これは3国の和解への動きとして高く評価できる。ただ、日本など国際社会には、軍事パレードについて、中国の「力の誇示」とみる懸念の声もあった。一方、習主席はレセプションの重要演説で「侵略の否定は歴史をもてあそぶものであり、人類の良識への侮辱だ」と強調した。これは安倍首相を暗に批判した発言と日本では受け取られ、菅長官は「中国側には(式典が)反日的ではなく、日中間の和解を含むものにしてほしいと伝えていたが、そのような要素が見られず非常に残念だ」と述べた。日中首脳が歴史認識などの問題でなお対立していることがあらためて浮き彫りになった。
8月15日の日本の終戦記念日、9月3日の中国の抗日戦争勝利記念日。戦後70年の重要行事が終わった後、日中首脳は早期に会談し、両国関係について、胸襟を開いて、じっくりと話し合うべきである。日中両国はともに平和主義を掲げながら、相手国の平和主義に疑いを抱いている。日本側は、中国の「力による現状変更」を警戒し、中国側には、日本の「右傾化と軍国主義復活」への懸念がある。
両首脳は率直に質問、釈明して、それぞれの疑念を晴らす努力をしてほしい。そうしてこそ、日中両国の「真の和解」への道が開け、両国と両国民の利益となる「白い未来」に近づくことができると思う。(了)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年9月15日
※本文章の意見は、所属している団体等の見解ではなく、各文章に記載された個人の見解です 。