日本はロシアのプーチン大統領の訪日に向け積極的に調整しているが、日露の歩み寄りは米国の警戒心を強めている。米国務省の報道官は22日、「現在は日露が正常な関係を回復する時期ではない」と述べ、日本が単独で対露政策を調整することに反対した。
NHKは23日、米国務省のトナー副報道官が22日、日本に対して対露関係の慎重な処理を求め、「ロシアがウクライナ東部で停戦合意を守っていないことを考えれば、ロシアと通常の関係に戻る時ではないと確信している」と発言したと伝えた。ロシア紙は、「米国はロシアがウクライナ東部で停戦合意を守っていないことを理由に、プーチン大統領の訪日を推進する日本に反対しているが、この理由は成立しない。ロシアは、ウクライナ国内の衝突の当事者ではないと何度も表明している」と報じた。
共同通信は23日、ウクライナ危機による米露の対立が続く中、米国はロシアに対して統一的な姿勢を示すよう同盟国に求めていると伝えた。この状況下、日本が日露関係の改善を模索し、特にプーチン大統領の年内訪日を目指していることは、米国から公然と反対された。ウクライナ危機が昨年勃発し、エスカレートしていった中、安倍首相はプーチン大統領の腹心の招待を含む、ロシアとの協力拡大を検討した。しかし米国のオバマ大統領やケリー国務長官などは、日本の「西側から逸脱した」動きに不満を表し、日本に対して欧米の対露制裁に追随するよう強いた。日露関係の改善は、これによって遅れている。
日本の対露政策は、経済協力を足がかりに首脳間の信頼関係を構築し、首脳の政治的決断により領土問題を含む一連の問題を解決していくことを想定している。原油価格が低下する中、ロシア経済がより深刻な状況を迎えようとしており、上述した構想の支えとなっている。プーチン大統領は、日本がシベリアの開発に加わることを歓迎している。21日の日露外相会談後、ロシアのラブロフ外相は、「全面的な日露関係の発展は、平和条約の締結に寄与する」と述べた。日本はこれを、ロシアの積極的な姿勢と捉えた。しかし日露外相会談において、ロシアは北方四島(ロシア名・南クリル諸島)の主権を主張し、譲歩の姿勢を示さなかった。ラブロフ外相は、「日本が戦後の歴史の現実を認めて、日露平和条約問題に初めて進展が得られる」と強調した。
日本の外務省は、日露の経済・貿易関係がどれほど発展しても、現実の食い違いと政治的信頼の不足を覆い隠せないと懸念している。これらの問題は、プーチン大統領の訪日の実現性に直接影響を及ぼす。この状況下、米国の態度はまさに火に油を注ぐようなものである。米国の支持がなければ、日本だけでロシアとの友好路線を歩むことは困難だ。日露戦略的パートナーシップの構築を目指す安倍首相は、苦しい選択を余儀なくされる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年9月24日