安倍晋三首相は「三」が好きなようだ。2012年末に首相再任を果たすと、アベノミクス、地球儀を俯瞰する外交、集団的自衛権の行使容認という3大政策を掲げた。アベノミクスには、金融の矢、財政の矢、民間投資の矢という「3本の矢」がある。安倍首相は9月24日、「3本の矢」のアップグレード版である、経済活性化の矢、子育て支援の矢、社会保障の矢を射った。
アベノミクスの「旧3本の矢」の実質は量的緩和策で、円安により日本製品の海外における競争力を高め、日本経済のデフレ脱却を目指すものだ。しかしながら、この3本の矢は果たして的に命中しただろうか?ムーディーズは2014年、日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げた。フィッチは今年4月、日本国債の格付けを「A+」から「A」に引き下げた。スタンダード&プアーズも9月16日、日本国際の格付けを「AA−」から1ランク下の「A+」に引き下げた。スタンダード&プアーズは、アベノミクスは今後2−3年内に日本経済の悪化の流れを変えられないとした。世界3大「裁判所」は、安倍首相の3本の矢が的を外したことを正式に発表した。
「旧3本の矢」が駄目ならば、これを良しとしない安倍首相は9月24日、「新3本の矢」を発表した。その内容を見ると、空虚な旧3本の矢よりも国民生活に密着している。しかし日本社会はこの新3本の矢に期待していないようで、的に当たる可能性は低いと考えている。
まず経済活性化の矢には具体的なスケジュールがない。安倍首相はGDPを600兆円にするという目標を掲げた。しかし安倍首相はこの目標をいつ実現するかを公言しなかった。5年かもしれないし、未知の可能性もある。安倍政権の経済担当者も、上述した目標の達成は非現実的だと述べた。
次に子育て支援は、古い政策の繰り返しだ。安倍政権は子育て制度の改善を続けているが、出生率は低下を続けている。安倍首相のこの出産を促す矢が、日本の少子化を改善するかについては、今後の経過を見守る必要がある。
最後に社会保障の矢は、高齢者福祉施設による制限を受ける。厚生労働省の統計データによると、日本の高齢者福祉施設の数は2013年の時点で1万2394施設のみで、増加する高齢者の需要をまったく満たせていない。安倍首相は介護離職ゼロを約束したが、それでも多くの高齢者が頼りを失うことになる。毎日新聞は、高齢者福祉施設の増加こそが問題解決の鍵であるが、安倍首相は言及しなかったと批判した。
安倍首相の射った新3本の矢は的から遠く外れており、実現は困難と思われる。安保関連法案の強行採決後に新3本の矢を発表したのは、主に安倍内閣の支持率を取り戻すためだ。2012年末の総裁選で、安倍首相が「経済発展優先」というスローガンを叫んでいたことは忘れられない。しかし安倍首相は就任後に安保と防衛を優先し、ペテンに掛けた。安倍首相は段階的な目的が達成された現在、再び「経済発展優先」を提唱した。人々はこれが新たなペテンではないかと、疑わざるをえない。(蔣豊)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年9月25日