ユネスコは南京大虐殺の文書を、世界記憶遺産に登録した。日本政府はこれに「即座に」反応し、外務省報道官の名義で談話を発表し、中国が申請した文書の整合性と信ぴょう性を疑問視した。さらにはユネスコが中立と公平を守っていないと批判し、「政治利用」されない組織改革を求めると称した。
南京大虐殺は第二次大戦中に日本軍国主義が犯した大罪で、国際社会が公認する歴史の事実だ。周知の通り、ユネスコの世界記憶遺産は、世界の文献遺産の信ぴょう性・独自性・整合性、および世界的な意義を重視する。中国が提出した文書は世界記憶遺産の審査基準に完全に合致し、申請手続きはユネスコの関連規定に基づき進められた。侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館の朱成山館長はかつて、「この当時の文書は歴史の経緯をはっきりと示しており、その記録は信ぴょう性が高い。文書は相互補完しており、完全な証拠を形成している。これは異なる角度から、日本軍の南京占領期間の暴行をありのまま記録している」と述べた。
大量の動かぬ証拠は、事実をはっきりと示している。しかしながら、中国が南京大虐殺の文書の登録申請を宣言すると、日本政府と右翼はあの手この手で申請を妨害し、申請目的を誹謗し、世界遺産委員会の審議に干渉した。日本政府は中国に何度も申請撤回を呼びかけた。菅義偉内閣官房長官は、「安倍晋三首相を含め、8回抗議した」と悪びれる様子もなく言ってのけた。中国の登録申請が成功しても、日本は手を緩めようとせず、中国と「第2ラウンド」の駆け引きを展開しようとしている。日本は「中国の資料が歴史の検証に耐えうるか」を見てから反論する予定だ。
これほど頑なな日本は、どうやら歴史の汚点を隠す決意を下したようだ。今回の件ばかりではない。国連の潘基文事務総長が、中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年の関連活動に出席した際にも、日本政府は何度も横槍を入れていた。潘事務総長の出発前に、中国の活動への出席を避けるよう求め、国連に「未来志向」と「中立」を呼びかけた。潘事務総長が北京を離れても絡みつき、批判を続けた。安倍晋三首相も、潘事務総長の訪中に「深い遺憾」を表し、「今後も国連に対して、いかなる特定の立場にも偏向しないよう呼びかけていく」と強調した。
日本は白を黒と言い張ろうとしても、かえってへまをすることになる。安倍首相は「美しい日本」というスローガンを掲げ、「強い日本」の「回帰」を呼びかけ、日本を「正常な国」にしようとしている。安倍首相は戦後70年にどっちつかずの談話を発表し、心からの反省を示さなかったばかりか、後の世代に「謝罪の宿命」を背負わせ続けることはできないということに着眼点を置いた。しかし歴史の汚点を拭い去ることはできない。しかも、歴史は現実と切っては切り離せない。日本の「核燃料の需給バランスの乱れ」、軍事・安全戦略の調整といった行為が広く疑問視されているのは、日本が誤った歴史観により国際社会の信頼を失っているからだ。日本が自国の名誉を考え、次の世代に歴史の重荷を担わせたくなければ、侵略の歴史を否定・粉飾するのではなく、これを直視することから始めるべきだ。
歴史の汚点を否定し隠すことに躍起になり、歴史を勇敢に直視・反省しようとしない日本が、「正常な国」になることはない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年10月14日