9月24日に、自民党は両院議員総会を開き、安倍晋三首相の総裁再任を承認した。安倍首相はその後開かれた記者会見において、アベノミクスが第2段階に入ったと述べた。これがいわゆる、「3本の矢」だ。しかし日本国内の現状を見ると、安倍首相は多くの試練を迎えている。
まず、安倍首相は経済発展を再優先しない可能性がある。日本は1990年代以降、経済強国の地位を固めるに伴い、政治大国の地位を渇望してきた。安倍首相は初就任時に、日本を「正常な国」にするという強い意向を示し、改憲に向け地ならしをした。日本国内の政治情勢が安定すれば、安倍首相は改憲を進めていくだろう。
次に、国内の労働力が不足している。日本の65歳以上の高齢者が総人口に占める比率はすでに4分の1を超え、先進国中で最高となっており、出生率も低下している。政府は労働市場の開放に取り組んだが、慎重かつ保守的な態度を維持している。新3本の矢の高齢者福祉施設を増設するためには、介護士を増やさなければならない。高齢化が深刻化し、日本の労働人口の絶対数は十数年前と比べ200万人以上減っている。厚生労働省は、2025年には介護士が38万人不足すると見積もっている。女性と高齢者の雇用を促進しても、労働力の不足を補えないだろう。
それから、資金源が確保しがたくなっている。日本の国の借金はGDPの2倍以上に達し、先進国中で最高水準となっている。社会保障、復興再建、国防、五輪競技場の建設といった財政の需要の拡大に伴い、2020年度に財政再建を実現するという目標の達成が厳しくなっている。安倍首相が打ち出した待機児童の減少、子育て支援、高齢者福祉施設の増設といった措置には多くの資金が必要だが、その額や具体的な出処については言及されなかった。
また、外部環境も複雑で変化が激しい。米国の利上げの予想は、日本経済に不安定な影響を及ぼす。中国などの一部の新興国の経済成長率が低下し、グローバル企業の経営が日増しに現地化する中、円安・輸出拡大による経済成長の原動力が弱まっている。安倍首相がGDP600兆円という目標を実現できるかについては、経済発展に専念し、財政再建を着実に推進し、労働市場を開放し、隣国関係を改善し、柔軟に国内外情勢の変化に対応できるかを見る必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年10月14日