ユネスコは9日、2015年に世界記憶遺産に登録された47件の名簿を発表した。中国が登録申請していた「南京大虐殺の文書」も登録された。日本はこれに強く反発し、関連機関に公平性が欠けると批判し、「ユネスコの拠出金を一時停止する」と脅迫した。
本件は中日の歴史問題をめぐる新たな駆け引きと言える。昨年3月の登録申請から現在の成功に至るまで、日本は中日関係への影響、信ぴょう性などを口実に抗議を続け、裏で輿論戦を展開し、全力を尽くしていた。しかし歴史は歴史であり、一部の歴史を忘れ、書き換えることは許されない。南京大虐殺は中華民族の傷跡であり、全人類が二度と被ることの出来ない痛みだ。世界の歴史学界において、これはアウシュビッツのホロコースト、広島・長崎の原爆投下と共に、第二次大戦中の3大事件とされている。ホロコーストと原爆投下は1979年と1996年に、世界文化遺産に登録されている。南京大虐殺の文書は、古都30万人の市民が虐殺された真相を記載しており、「平和を惜しみ、人類の尊厳を守る」という名義を持つ。登録されるのは必然的かつ至極当然で、疑いの余地もない。
歴史は過去だが、歴史に対する態度は現在と未来に関係する。日本はこれを知らないわけではなく、知りすぎているのだ。あの手この手で中国の登録申請を妨害する一方で、「東寺百合文書」や、第二次大戦後のシベリア抑留者に関する資料「舞鶴への生還」の登録申請に勤しんでいる。日本の登録申請は、中国に対する妨害、教科書書き換え、集団的自衛権の行使容認、靖国参拝などと同じく、軍国主義との間に徹底的に一線を画さず、軍国主義の意識を強める行為だ。安倍政権にとって、歴史が真実であるか、行いが正義であるかは重要ではなく、現在の現実的な政治、未来の勝手な行いに役立てることができるかが重要なのかもしれない。ただしこのように歴史を修正し、歴史の流れに逆行することで、この国をどこに導こうとしているのだろうか?
多くの学者は日本の国民性について論じる際に、その地理的環境と結びつけている。フランスの歴史学者のフェルナン・ブローデル氏は著書の中で、「日本は孤立し、閉鎖的で、島国の特徴を持つ。この寂しく孤独な状態を打破するために、意識的に頻繁に取り組みを進めざるを得ない」と指摘した。面積が狭く、資源が不足し、地震が多発し、危機感が強いこの島国が、自国の強化を「意識的な取り組み」の着眼点としていることは参考になる。しかし各方面への拡張を目指し、侵略の危険な傾向を持つことには警戒が必要だ。特に隣国であり、かつて侵略を受けた中国は、歴史を胸に刻み、自国の強化に取り組まなければならない。最大限に全世界の正義の力を発揮し、国・地域・世界の平和と発展の妨害を防がなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年10月16日