「2015ユーキャン 新語・流行語大賞」が12月1日発表され、日本を訪れる中国人観光客が大量に商品を購入することを意味する「爆買い」という言葉が、なんと年間大賞に選ばれた。中国青年報が伝えた。
近年、連休になるたびに中国人が日本を含む外国を大挙して訪れ、大量に買い物をするという独特な光景が各地で見られており、「爆買い」が日本の流行語になったのもうなずける。しかし、歴史や民族感情などが原因で、中国人ネットユーザーの多くは日本でショッピングにふける中国人のことが理解できず、揶揄する人や、日本で爆買いする人を「漢奸」「売国奴」などと罵る人もいる。筆者はこれについて、道徳を押し付けるのではなく、理性的な見方をすべきだと考える。
李克強総理は今年の「全国両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)期間中、春節の連休に中国人が日本で爆買いする現象について「開放的な態度で望むべきであり、貿易障壁には反対すべきだ。なぜなら、消費者にはより多くの選択肢を享受する権利があるからだ。一方で、中国企業もアップグレードすべきだ。国内にも同じような品質の商品があれば、競争力がより高まるし、少なくとも消費者は航空券代金を節約できる」と、自らの意見を述べた。経済のグローバル化という背景の中、どの国の人も海外で買い物をしている。責められたり、罵られる言われはない。
日韓両国は中国の隣国だ。中国国内旅行のコストがますます高まる一方で、クオリティは低いままという状況の中、日韓旅行がブームになったのも偶然ではない。爆買いは、日韓旅行ブームに伴って出現した付属現象に過ぎない。また、中国人の日本旅行は、数字的にはそれほどの規模ではない。今年の春節期間中に日本を訪れた中国人は45万人。一方、中国国内のほぼ全ての省では、訪れた観光客の数が500万人を越えていた。1000万人を超えた省も11省あった。観光客の消費額を見ると、日本の60億元(1元は約19円)という数字は中国の多くの省と比べると少ない方だ。四川省、江蘇省、山東省、安徽省、遼寧省の観光収入は100億元を突破している。つまり、爆買いという現象を、我々はもっと冷静に見る必要がある。
このほか、日本の商品価格やショッピング環境も爆買いの理由になっている。日本で爆買いをするほとんどの中国人は、衝動的ではなく理性的に消費している。彼らは以下のような点を考慮して購入しているのだ。
○消費環境、ショッピング環境が中国よりも良いかどうか。
○商品価格が中国国内よりも安いかどうか。
○品質とサービスが中国国内よりも優れているかどうか。
○人民元と日本円の為替相場がどのような水準にあるか。
これらの要素を総合的に考えれば、日本で爆買いする理由があることに気づく。これは愛国か否かとは直接的には全く関係の無いことだ。
「存在するものには全て道理がある」と言われる。中国人の日本での爆買いについて、我々は道徳を押し付けたり言葉で攻撃するのではなく、より冷静に理性的な分析をするべきだ。また同時に、中国政府の管理当局や企業は共に努力し、中国国内のビジネス・消費環境をますます改善し、市場の秩序をより合理化・規範化し、税負担を引き下げ、商品の質を保証し、国内観光のサービスを改善すべきだ。そうすることで、中国人は自国での消費を信頼できるようになる。我々が自分のできることをしっかりすることで、中国人の海外消費を国内に呼び戻すことができる。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年12月5日