米軍が2000年以降、少なくとも日本国内の12の大学と機関の研究者に2億円を超える研究資金を提供していたことが6日、分かった。政府の集団的自衛権の行使容認で、今後は一層増加する可能性もあり、軍事と研究の在り方をめぐる議論に影響を与えそうだ。米国政府が公表している情報を基に日本メディアが伝えた。
米政府は、上述した12の大学と機関を含む、日本国内26の大学などの研究者に計150万ドルを提供したとしている。
このうち12の大学、機関が、米政府が公表していなかった分を含めて受け入れを認め、総額は2億2600万円となった。残り14は「文書の保管期限が切れており確認できない」「該当はない」などと回答。
在日米軍司令部は取材に対し「日本の大学や研究機関に数十年にわたって資金提供している。提供は主に陸軍や空軍など米軍の各組織の科学的な優先順位に基づいている」とコメントした。
東京工業大は05年以降、炭素繊維複合材などに関連する11件の研究に計87万ドルの提供を受けることで米軍と合意している。大学内で定めた要領に基づき審議し、「研究ポリシーにかなうものであると判断されている」という。
理化学研究所も00-10年に2件で計4798万円の資金提供を受けた。非破壊検査などに関連する技術と、レーザー加工技術の基礎研究が対象だった。
10、12年に計392万円の提供を受けた物質・材料研究機構は、他にも米軍からの資金提供があったと答えたが、「先方の意向により公開は控える」とした。