麗澤大学特任教授 三潴 正道
お葬式から話はお墓参りに。
第三話:清明節って?
「日本では、春になるとお彼岸があるの。先祖のお墓参りに行くのよ」
「中国にも清明節がある。やっぱりご先祖の霊を慰めるのさ。爆竹を鳴らしたりしてね」「へー。賑やかなのね。お供え物もするんでしょ?」
「勿論さ。それに紙銭を燃やして、あの世に送り届けてあげるんだ。お蔭であちこちで山火事が起きる」
「どうして?」
「だって、春は風が強いし、山にも原っぱにも冬枯れの草がたくさん残っているから」「それでもやるのね」
「最近は政府も注意を呼びかけているけど、国の記念日として復活したから、行事は年々盛んになっている」
「春のお彼岸の時は、私の田舎では菜の花やレンゲソウが咲いて、本当にきれいよ」
「中国でもそうさ。芽吹いたばかりの緑の草を踏んでいくから“踏青”とも言うんだ」
「それから、春のお彼岸といえば牡丹餅(ぼたもち)。知ってる?」
「なんだい、牡丹餅って」
「もち米なんかを蒸して、ちょっとすりつぶしてお団子にするの。あんこやきな粉を付けて食べるんだけど、甘くておいしいのよ。秋にもお彼岸があるけど、同じ牡丹餅でも、その時はおはぎっていうの」
「僕らは色々な食べ物を供える。一家総出でお参りに行って、一族の団結と助け合いを誓う場にもなるんだ」
「中国人って家族の団結がとても強いと思うんだけど、そのくせ、夫婦別姓なのよね」
「そう。それから、昔は同姓不婚といって、姓が同じだと結婚できないこともあったんだ」
「日本人の姓はヨーロッパ全部くらいあるって聞いたことがあるけど、中国人は確か百しかないんでしょ。それじゃ、悲恋もたくさんあったでしょうね」
「“百家姓”といっても実際は数百ある。でも、張さんなんか1億人以上いるそうだ」
「1年生の時、中国人の先生の家に遊びに行ったら、表札に先生が張、奥様が王って書いてあったの。同棲しているのかと思っちゃったわ」
「封建時代は奥さんに名前が無いので、陳氏、李氏という風に姓で呼んでいたんだよ」
「日本人は江戸時代まで武士以外の一般庶民は姓が無かったのよ。苗字が許されるってとても名誉なことだったの。」
「そうなんだ。だから、後でいろいろな姓を作っちゃったんだね」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年12月25日