核弾頭の製造に転用できる数百キロのプルトニウムを、日本が米国に返却するという情報が5日、世界から注目を集めた。日本メディアの報道によると、これらのプルトニウムの大半が「兵器級」であり、40-50発分の核弾頭を製造できるという。日本はこれを高速炉臨界実験に用いていた。
共同通信社の5日の報道によると、日本は研究用に提供された331キロのプルトニウムを、3月に米国に返却することになった。米エネルギー省は、南部サウスカロライナ州にある国立の核施設で受け入れが可能とする、環境アセスメントの結果をまとめた。
米国は2014年3月のハーグ核セキュリティ・サミットの開幕前に、日本が米国に高濃縮ウランと兵器級のプルトニウムを返却することで、米日が合意に達したと発表していた。合意から2年後、この40発の核弾頭を製造できる兵器級のプルトニウムが、主の元に戻されることになりそうだ。
日本メディアによると、これらのプルトニウムは冷戦時代に、英米とフランスが日本に提供した。日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置(FCA、茨城県東海村)で利用されてきた。FCAではウランと混ぜないプルトニウム燃料として使ったが、出力が小さいため量はほとんど変わらない。現在もFCAに保管されており、核弾頭40-50発分に相当するという。米エネルギー省の担当者は、「セキュリティーの観点から詳しい時期は言えない」と話した。
日本が米国のプルトニウムを返却することが、これほど注目されるのはなぜだろうか?これはプルトニウムが極めて敏感な核燃料であるからだ。プルトニウム240の濃度により、兵器級と原子炉級に分かれる。米国は1960年代に級別の核爆発実験を行い、どの級のプルトニウムでも核兵器が作れることを証明した。ゆえにプルトニウムは、世界で特に注目される核拡散材料なのだ。
専門家は、高速炉がウランと混ぜたプルトニウムを燃料とし発電する場合、核分裂によって生まれるプルトニウムは、消耗されたプルトニウムの量を上回ると指摘した。言い換えるならば、核燃料は使うほど増えることになり、かつ核廃棄物を使い新たなプルトニウム239を生産できる。日本メディアの「量はほとんど減っていない」という言い分ほど、事が単純でないことは明らかだ。そのため海外が本当に関心を寄せているのは、日本が米国にどれほどの量を返却するかではなく、日本が長年の高速炉の研究により高純度の兵器級プルトニウムをどれほど貯めこんだかの方だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月6日