新安保法が今年3月末までに正式に施行されるのをひかえ、「日本軍国主義の復活」という問題について、客観的な戦略判断と適切な準備をしておく必要がある。これは、世界の平和と発展の未来に直接かかわる問題である。筆者が考えるに、日本軍国主義の復活は、米国の取る冷戦思考がもたらした必然的な産物であり、世界を牛耳ろうとする米国の覇権主義と冷戦思考が放棄されない限り、日本軍国主義復活の歩みはとどまるどころか、今後もますます速まっていくとみられる。
日本軍国主義が再び息を吹き返すと考えられるのはなぜか。もともとの軍国主義文化が日本で根絶されることなく、一部の人によって継承され続けているためである。現在は「平和憲法」を打破しようという段階であり、日本の軍隊保有と交戦権を禁止する憲法第9条の有名無実化がはかられている。集団的自衛権の解禁と新安保法案の成立に伴い、この段階の目標は実現に近付いている。今後入っていくのは、現憲法を廃止して新憲法を設立しようという段階である。「平和憲法」を実質的に廃止し、「憲法改正」を進めることにより、戦後の「平和憲法」の制約から脱却しようという試みである。最終的には、軍隊の強化を加速する段階に入る。
米国は2010年、戦略の重点をアジア太平洋に移し、「リバランス」戦略の実施を始めた。世界の覇権を握る地位を保ちつつ、共産主義の発展を抑制しようというねらいである。新時代におけるこのような典型的な冷戦思考は、日本の軍国主義復活に千載一遇の戦略的なチャンスを与えている。中国やロシア、朝鮮などを明確なターゲットとした冷戦思考の再来は、日本軍国主義復活にとっては願ったりかなったりである。