歴史を振り返り、冷戦における米ソの対立が日本軍国主義の復活にふさわしい状況と土壌を与えていたとすれば、冷戦終結はこの状況と土壌の醸成を一時的に阻むものとなった。安倍政権がいくつもの歯止めを大胆にも突破し続けているのは、日本が米国の「アジア太平洋へのリバランス」の要であるとの立場を米国が明確に示しているためである。米国の戦略の要となった今、日本は何を恐れる必要があるだろうか。「アジア太平洋へのリバランス」という戦略を取ることで、米国は、日本軍国主義の復活に新たな道を切り開いてしまったと言える。日本の軍国主義勢力は現在、米国の政治・戦略面でのニーズを利用し、軍事大国の地位を手に入れようとすると同時に、強大な経済を支えとして政治大国の実現を目論んでいる。
米国側は、日本に対してはまだ、決定的な影響力と制御力を保つだけの十分な条件があり、日本で軍国主義が少しくらい台頭しても心配には及ばないと考えている。この条件は主に二つある。第一に、日本の民主社会制度を設計したのは米国である。米国は必要に応じて、日本の政界を左右し、日本の政治的リーダーを選ぶことができると考えている。第二に、米国は依然として、日本政治の行方をコントロールする重要な「切り札」を握っている。「平和憲法」や日本と周辺に駐在している軍隊などの「切り札」を出せば、日本軍国主義復活を阻む幾重もの防御線を形成することができると考えている。
だが民主制度の選挙権は日本の民衆が握っている。票を集めるのは各政党の議員である。民意は民主に反映されるが、多くの要素の働きを受け、民意は時には真実ではなくなる。選挙政治においては、民衆や議員が騙されたり、ミスリードされたりといった状況が発生し得る。選挙制度は、軍国主義復活の防止という観点からは万能とは言えない。これは事実によって証明されている。まして日本では現在、法的な制限が一歩一歩突破されつつある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月6日