それでは、安倍首相の「都合のいい計算」は、そのまま実現されるのだろうか?
中国社会科学院日本研究所日本外交研究室長の呂耀東氏は、「参院選の結果は、現段階でもほぼ予想できる。少なくとも自民党は、まだ強敵を迎えていない。安倍首相の支持率はまずまずで、野党も力強い理念を掲げていないことから、現状を見る限り野党による巻き返しの可能性は高いとは言えない。今回の参院選で3分の2以上の議席数を占めることができれば、戦後初の改憲が確実になるだろう」と懸念した。
改憲が一挙に実現されることはなく、最終的な決定権は日本の有権者に握られている。呂氏は、「安倍首相の参院選の勝利は、改憲の目的を達成するための重要な一歩であり、その後は国民に改憲の是非を問うことになる。安倍首相の新3本の矢が奏功するかはさておき、野党がそれ以上の理念と主張を掲げなければ、安倍首相から国民の票を奪うのは困難だろう」と指摘した。
劉氏は、「日本は2016年に内外で、非常に大きな不安要素に直面する。最近のサウジアラビアとイランの国交断絶による原油価格の反転上昇と円高は、日本経済にショックをもたらし、アベノミクスの目標実現を妨げる。3月の安保関連法案の発効後、米国が日本に見返りを求め、テロ対策に貢献するよう求めた場合、法律の盾を失った安倍政権はテロ対策に乗り出すか、それとも日米同盟に留まるかという難しい選択を強いられる。これは国民の安倍政権に対する批判を再び引き起こすだろう」と分析した。
安倍政権は改憲の必要性の根拠を手にする必要がある。だが最終的にこれらの理由と口実を「コントロール」できるかについては未知数だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月7日