日銀は29日にマイナス金利政策の実施を発表し、市場を驚かせた。日銀によるこの動きは、日本経済が深刻な苦境に直面しており、日銀が経済の難題を解消する効果的な手段を持たず、政策の硬直状態に陥ったことを浮き彫りにしている。
日銀の同日の決定によると、2月19日からマイナス金利政策を導入し、金利を−0.1%に調整することになる。民間銀行の融資などの手段による実体経済への資金供給を促し、経済成長を刺激し、2%という物価目標の達成を急ぐことが狙いだ。日銀はさらに、必要に応じてさらに金利を引き下げると表明した。
この影響を受け、東京株式市場の日経平均株価の上げ幅は同日500円に達し、2.80%上昇した。ドル円相場も1円=121円の円安となった。10年物国債利回りは過去最低の0.09%となった。
マイナス金利政策が、日本経済への刺激を維持できるか、刺激の効果を発揮できるかについては不透明だ。ファンダメンタルズを見ると、日本国内のデフレは投資と生産に影響を及ぼしている。特に国際原油価格の低迷により、日銀の物価上昇の取り組みに深刻な影響が生じている。
総務省が同日発表したデータによると、日本の2015年の消費者物価指数(コア)は0.5%の上昇に留まり、前年の2.6%から大幅に低下した。日銀も同日、物価目標の実現の時期を半年延期し、2017年度の上半期とした上で、2016年度の物価上昇率は目標を大幅に下回る0.8%になると予想した。日銀は物価目標の実現の時期を、すでに3回延期している。
安倍晋三首相が提唱するアベノミクスは、成長の苦境を迎えている。成果として誇っていた日経平均株価は、今年1月に8%弱も低下した。輸出企業の収益を支える円安も、世界の投資家のリスク回避のムードの影響を受けた。ドル円相場は一時、1ドル=116円の円高となった。さらにアベノミクスの大黒柱だった、経済再生担当大臣の甘利明氏が28日、収賄のスキャンダルにより28日に辞任した。日本経済の先行きはさらに不透明になっている。