程永華・駐日中国大使はこのほど東京で人民日報海外版の独占インタビューに応じ、中日関係の問題について記者の質問に回答した。程氏の発言内容の要約は下記の通り。
中日双方は2014年11月、両国関係の処理と改善に関する4つの原則的共通認識を取りまとめた。両国首脳はこれを踏まえた上で、北京APEC首脳会議の会期中に会談を実現した。中日関係は改善に向かい重要な一歩を踏み出した。この1年以上に渡り、中日関係は全体的に回復・改善の流れを維持した。両国の政府・議会・政党・経済・貿易・人文などの各分野の、各レベルの対話と交流が秩序正しく回復している。習近平国家主席、李克強総理はそれぞれ多国間の場で、安倍首相と会談した。双方は高官による政治対話を2回開催し、議会と政権与党の交流枠組みを再開し、海洋事務レベル海洋協議、安全対話、経済パートナーシップ協議を開催した。日本の経済3団体が訪中した。双方は経営者と元高官による対話会という、経済交流の新たな場を設立した。
同時に、この数年に渡る中日関係は順風満帆とはいかず、一挙改善が困難だったことを無視できない。両国関係の改善の流れの基盤はまだ脆弱で、依然として多くの複雑かつ敏感な要素に直面している。これには歴史問題や領土問題などの古い問題が含まれ、新たな食い違いも存在する。例えば日本では昨年、安保関連法案が可決された。その過程において、中国の正当かつ合法的な海洋活動と国防建設のイメージダウンを続け、いわゆる「中国の脅威」を誇張し続ける者がいた。これは両国の相互信頼の再構築、国民感情の回復に深刻な影響を及ぼした。
日本の対中投資額は近年、減少傾向を示しているが、これには主に次の原因があるとされている。まずは人民元に対する円安で、日本企業の対中投資コストが増加し、商品輸出型の日系企業の競争力が低下した。次に中国経済が新常態(ニューノーマル)に入ると成長率がやや低下し、同時に中国の人件費などの生産要素コストが上昇し、一部の日本企業は対中投資を静観している。それから日本は比較的早くから中国で投資を行っており、大多数の日本の大企業はすでに中国で企業を設立している。その重点的な目標は、経済効果の向上に変わっている。さらに、各国企業が積極的に対中投資に力を入れ、中国企業が成長していることから、中国市場の競争が日増しに激化している。一部の日本企業は技術力や競争力が低いか、社内の経営状況が思わしくないことから、中国市場からの撤退を余儀なくされている。
重視すべきのは、日本の対中投資にも積極的な変化が生じていることだ。まず日本企業は中国で、重要製品の生産を開始している。次に、中国での研究開発センターの設立を加速している。それから一部の製造メーカーは中西部にシフトしている。また日本のサービス業の対中投資に占める比率が上昇しており、小売、教育、医療、介護などの投資が増加を続けている。他にも一部の大型戦略投資は、日本企業の対中投資が、資本注入など深い提携方法に変化していることを反映している。