中国の「大国化」をどう受け止めるか

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発信時間: 2016-03-16 16:20:10 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

横浜国立大学名誉教授    村田忠禧

中国の全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が開幕し、日本のマスコミはこぞって2016年の国防費に注目した。公表された国防予算は9544億元。これは11年以来、前年比12.7%、11.2%、10.7%、12.2%、10.1%増という5年連続の2桁台の伸びが16年は7.6%増に下がることを意味する。おおかたの予想とは異なる発表で、本来ならその点に的を絞った分析があってしかるべきなのに、「日本の2016年予算の防衛関係費(約5兆円)と比べても3倍以上の規模」(『日本経済新聞』3月6日)と、中国の軍事費の突出ぶりを強調する記事が大半であった。

このお決まり論調の源は安倍首相にある。昨年の国会での「安保法制案」審議における答弁で、彼は中国の国防費の増大ぶりをしきりと強調し、それを法案成立のための口実にしてきた。一例を挙げると「中国につきましては、公表国防費が1989年以降毎年2桁の伸び率を記録し、過去27年間で約41倍になっており、今年度においては中国の国防費は日本の防衛予算の3.3倍に達しております」(8月25日の参院特別委員会での答弁)。

はたして現実はどうなのだろうか。われわれは客観的に分析する必要がある。

軍事費とGDPとの関係から見ると

スウェーデンにストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute、以下、SIPRIと略称)という研究機関があり、世界各国の軍事費を調査したデータベースを公開している。その内容は誰でも入手できる。

http://www.sipri.org/research/armaments/milex/milex_database

他国の軍事費と比較してみると理解しやすいので、ここでは米国、中国、日本、ドイツを取り上げる。なおSIPRIが公表する中国の軍事費は中国の公表国防費よりおよそ6割多く見積もられている。ここではその当否は問わず、一研究機関の研究データとして扱う。

表1米・中・日・独4ヶ国の軍事費(SIPRIより) 単位 億米ドル

1990

1995

2000

2005

2010

2011

2012

2013

2014

米国

3,062

2,789

3,017

5,034

6,982

7,113

6,848

6,397

6,099

中国

102

125

222

463

1,233

1,473

1,696

1,912

2,164

日本

250

489

460

447

538

605

600

487

458

ドイツ

423

412

282

381

463

481

465

477

465



表1のように、中国の軍事費は10年以降、米国に次いで世界第2位である。14年の日本は第9位。90年を100とした場合、14年には米国が199、日本が183、ドイツが110であるのに、中国は2112、およそ21倍となった。中国の軍事費の急速な増大は事実である。

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