日本文部科学省はこのほど、来年春より使用される高校教科書の検定結果を発表した。日本の各メディアと識者は、検定に合格した教科書が歴史・領土問題の記述で後退したことについて、政府によるミスリードは、青少年の正確な歴史観の形成を妨げ、大きな悪影響を及ぼすと批判した。
朝日新聞は社説の中で、「教科書は領土問題で政府の立場に従い、自衛隊や憲法など意見が分かれる問題でも安倍政権の主張に従っている。この政府の主張を唯一の正しい答案とするやり方は、無理やり受け売りをするようなもので、戦前の教科書に似ている」と論じた。東京新聞は社説の中で、「検定後の教科書は政府の立場を鮮明に反映しており、その他の異なる意見と立場が薄められている。右傾化を背景とし、教科書の出版社は教材を作成する際に政府の顔色を伺っており、自由度が低下している。この『自己審査』の風潮は懸念に値する」と論じた。
日本の多くの民間団体も、日本政府が検定した高校教科書の後退を批判する声明を発表した。日本出版労働組合連合会は、「今回の教科書検定では、日本の戦争における加害の事実と記憶を薄めようとする、安倍政権の意図が示された。日本の教科書検定制度の最大の問題は、検定権が独立した第三者機関ではなく、政府にあることだ。安倍政権は現在の審査じみた制度を廃止するべきだ」と批判した。「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長は、「安倍政権の教科書検定制度は、学術研究の成果を無視しており、日本の若者の合理的で正確な歴史観の形成を妨げる。政府のこの措置は、学術と表現の自由に対する深刻な侵犯だ。政府見解を唯一の正確な答案とし子供を教育することは、民主的な社会で発生すべきではない『暴行』だ」と指摘した。
中国社会科学院日本研究所の高洪所長は、インタビューに応じた際に、「日本政府は歴史教科書を検定する際に、日本軍が南京大虐殺で中国の非戦闘員を殺害した内容を大幅に削除するという過ちを再び犯した。歴史上の侵略の罪に対する責任を意図的に薄め、些細な論点の相違を理由に是非をあいまいにし、歴史の罪に関する真相を隠そうとしている。新しい教科書の検定において、中国から盗み取り占拠した釣魚島(日本名・尖閣諸島)を日本の領土と言い張っているが、これは中国の領土・主権に対する深刻な侵犯であり、日本政府が対話と協議により領土問題を解決するという中国政府・国民の提案を受け入れようとしていないことを再び示した。日本は歴史と現実を直視し、間違った立場を捨てて中国と向き合い、両国関係の大局の維持を共に模索し、釣魚島の主権をめぐる問題を最終的に解消する効果的な方法を模索するべきだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月26日