日本経済新聞によると、東芝は30日午後、白物家電子会社の東芝ライフスタイルの株式80.1%を中国家電大手の美的集団に売却することで最終合意した。美的は白物の東芝ブランドを世界中で40年間使用できるようになり、白物家電の特許など5000件以上の知的財産も使える。美的は東芝の日本、中国、東南アジアにおける販売網や製造拠点を利用できる。
美的集団は1968年創業で、100年以上の歴史を持つ東芝と比べると、国際的な知名度で劣る。そのため今回の買収には、先ほど台湾の鴻海精密工業がシャープを買収したように、国際的な知名度を高める狙いがある。
美的は今回の買収完了後、東芝ブランドを使いハードルの高い日本市場に進出する。さらに東芝の販売網により、美的はアジア市場における販売の地位を固めることができる。まさに一石二鳥だ。
訪日中国人客は2014年から現在まで増え続けており、日本製のウォシュレット、炊飯器、空気清浄機などの家電が人気商品になっている。訪日中国人客がしばらく勢いを示し続ける見通しとなっているが、美的は今回の買収で日本市場への浸透を目指す。蘇寧電器が日本の家電量販店のラオックスを買収したのと同様だ。
中国企業は近年、海外M&Aを頻繁に実施しているが、買収先はエネルギー系企業が中心となっている。しかしハイアール・グループは年初、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収し、さらに美的は東芝ライフスタイルを買収した。これは中国企業の海外M&Aの対象が、エネルギー系企業から技術系企業に移り変わりつつあることを意味している。しかし美的が経営権やブランド使用権などを手にしても、コア技術は依然として東芝に握られていることに注意が必要だ。
美的が今後40年に渡り東芝を活用し、自社のコア技術を開発できるか否かは、今回の取引が割に合うものだったかを判断する基準になる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月1日