鴻海精密工業とシャープは今月2日、大阪で出資契約に正式調印した。日経新聞(電子版)によると、鴻海の郭台銘会長は記者会見でシャープの黒字化への決意を示したが、世界経済の成長率の低下により厳しい試練を迎えることを認めた。
調印3日前の3月30日、鴻海とシャープ取締役会は、前者が3880億円で後者の66%の株を取得することで合意した。シャープは2015年度に1700億円の赤字を計上すると見られることから、鴻海がシャープを崖っぷちから引き戻せるかが懸念されている。
今回の買収は鴻海、同社の子会社2社、郭会長の個人投資機関による共同出資。郭会長は自ら財布の紐を解き、シャープの8.85%の株を取得することになる。
消息筋によると、シャープの黒字化の時期は、鴻海にとって極めて重要な問題だ。一部の取締役はシャープにおける地位を高めるため、郭会長に1年内に収支バランスを実現させると提案している。
郭会長は、黒字化の努力にはシャープの経営効率と生産能力の向上が含まれると表明した。またシャープブランドは、スマートハウスに使用されるネットワークデバイス技術を開発する。主に先進ディスプレイ、カメラ、センサーなどの技術に投資を行う。