東芝は白物家電事業を中国家電メーカー大手の美的集団に売却し、シャープは台湾の鴻海精密工業に買収され、三洋電機はパナソニックと中国家電メーカー大手のハイアールに買収された。日本家電メーカーは2015年下半期から厳冬入りした。かつての家電市場の覇者は事業売却による経営維持という地位にまで落ちぶれ、日本の世論を騒然とさせている。時代のパイオニアはわずか数十年で経営不振に陥ったが、日本家電メーカーはなぜ苦境に立たされているのだろうか?未来の道はどこにあるのだろうか?
時代遅れによる衰退
90年代以降、中国と韓国が安価で機能面でもそれほど劣っていない家電を製造するようになり、日本製品が強みを失った。日本家電メーカーも、坂道を下るようになった。
外部の激しい競争は、日本家電メーカーの衰退の重要な原因だ。だが多くの日本の専門家は、真の問題は日本企業自身にあると考えている。慶応大学の井村喜代子名誉教授は、「経営方針と製品の更新が世界情勢に追いつかず、日本家電メーカーは経営危機に陥るようになった」と指摘した。
多くの日本大企業の経営者は戦後生まれで、献身的な精神と向上心を持つ。ただし改革やイノベーション、新しいものを学び受け入れる能力が低い。多くの経営者は既存のモデルを踏襲したがり、世界の流れを積極的に理解し新しいものを学ぼうとしない。50・60代の経営者は、パソコンにさえ熟練していない。
また日本企業はこれまで、終身雇用、年功序列という雇用制度を貫いてきた。職員は定年退職まで同じ会社で働き、昇給は年齢に基づくという制度だ。企業は職員のイノベーションと向上心を重視せず、さらにはこれを制限した。部下は上司の指示どおりに仕事をするだけだ。
変化の激しい今日において、保守的でイノベーションに欠ける日本企業が、どのような結果を迎えるかは想像に難くない。