オーストラリアとニュージーランドの関連協会の報告を見た後、我々は、この原稿を書いた日本人記者と朝日新聞のデスクに対して残念な思いを抱かずにはいられなかった。このインターネット時代、公開されているデータを調べるのは造作もないはずなのに、なぜ原稿を書く前にきちんと調べようとしなかったのだろうか。
筆者は裏付けを取るため、各校指定の学生服の注文を取り扱っている東京新宿の伊勢丹の店舗に足を運んだ。店舗の担当者によると、ウール100%の学生服は昨年同期から約5%値上がりしたが、値上げ幅は一般的な価格変動の範囲に属するものだという。制服の値上がりの原因を中国の羊肉火鍋ブームに求めるのはやはり道理を欠いている。またウール100%の制服を指定する学校は少数で、多くの学校は、ウール混紡生地の学生服を指定しているという。
日本メディアが中国にあらぬ罪を着せようとするのはこれが初めてではない。都合の悪いことを中国のせいにするのは一部の日本メディアがこれまで貫いてきたやり口でもある。日本経済の不景気や輸出の低迷、日本企業のリストラ、倒産までも、中国経済の成長速度がスローダウンしているせいになる。日本の各紙にはしばしば、「中国の減速でアジアの銀行業に逆風」「中国経済の減速でアジアの輸出が低迷」といったタイトルが踊る。中国経済の衰退を誇張し、中国の顔に泥を塗るのは、日本メディアの昔ながらのやり口なのである。