オーストラリアのターンブル首相は26日、フランスの国有船舶製造会社(DCNS)を新型潜水艦の設計や建造など多方面の協力パートナーとすることを決定した。日本はこれに先立ち、「そうりゅう型」潜水艦の受注獲得に自信を強めていた。フランス企業受注のニュースが伝わると、日本の足並みは大きく乱れ、世論はにわかに騒然とした。日本政府と防衛省の高官はさぞや悔しい思いをしたことだろう。(文:李傑。三略研究院戦略海洋研究センター首席専門家)
もう煮えたかと口に運んだカモが突如飛んで逃げて行った――。製造費だけで500億豪ドル、その後の数十年の維持管理費も1000億豪ドルに及ぶ潜水艦の大型事業を最後の最後でフランス人に持って行かれ、日本人は一時呆然とし、落胆と失望に落ち込むこととなった。
「そうりゅう型」がなぜ受注に失敗したかについては、各方面から様々な推測と分析がなされている。価格が高すぎる、技術が低い、海外向けの建造経験が不足しているなどの意見もあるし、お馴染みの「政治陰謀論」も飛び出している。見方は様々だが、最大の原因はやはり、「そうりゅう型」の核心技術に特に目立ったところがなく、コストパフォーマンスが十分でなかったことだろう。「シュフラン級原子力潜水艦」を改造して設計・建造されるフランスの通常動力型潜水艦は当初から、極秘のポンプジェット推進によるステルス技術の採用で注目を集めていた。この技術は潜水艦の水中での騒音を大幅に抑えることを可能とし、敵側による探知と破壊の難度を大きく高めることができる。フランス側の受注内容には、設計や建造のほか技術譲渡、作戦系統の配備、船員の訓練、メンテナンス、雇用機会の提供なども含まれている。契約全体の期間は50年にわたり、継続的な一括サービスをオーストラリアに提供するものとなる。
日本の売り込みは今回、失敗に終わった。だが日本が今後、自国の防衛装備輸出戦略を大きく調整し、技術譲渡の強化や購入国本土での建造許可などに乗り出し、国際市場の需要に適応する措置を取ってくることは間違いない。
東京からはすでにこんな声が伝わってきている。オーストラリアの新型潜水艦の受注でフランスに敗れた深層の原因をできるだけ早く分析し、防衛装備品の輸出戦略を再構築し、日豪の安全保障面での協力を引き続き強化しなければならない――。この動きは、我々の警戒と注意に値する。
日本の「そうりゅう型」潜水艦は今回の受注競争で確かに敗れた。だが客観的に見て、この潜水艦が先進的で、幾つもの世界一流の技術を誇っていることは認めなければならない。日本の軍事産業メーカーはこのほかにも、優れた性能を持つ多くの通常兵器を保有している。これらの武器装備が依然として同盟国やパートナーを引き付け、外貨を稼ぐ切り札であることは間違いない。
「武器輸出三原則」の制限を打ち破った日本にとって、今回の受注失敗は、総合的な大型武器の輸出での初めての敗北となった。その原因としては、経験不足も挙げられるし、規定や条件があまりに柔軟性を欠くことも考えられる。日本が今後、経験を積み、国際防衛市場の「しきたり」に慣れ、コストの削減を実現し、一部の先端技術の譲渡を許すようになれば、日本の防衛装備輸出は拡大していくこととなる。
失敗を教訓とし、自らを反省し、戦略を調整し、再び売り込みを始める――。「そうりゅう型」の受注に失敗した日本が短期間で一連の措置を取りつつあることは、我々に警戒と熟慮を促している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月29日