早稲田大学が新入生向けに作った、アルバイトの安全に関する宣伝教育を目的とする「ブラックバイト対処マニュアル」(全48ページ)が、このほど日本の大手メディアによって報じられている。このマニュアルは日本の書店に並び、ベストセラーを記録している。本書のベストセラーは、日本の労働市場の乱れ、従業員の企業への不信任感を示しており、アベノミクスの大きな課題を浮き彫りにしている。24日付フィナンシャル・タイムズが伝えた。
アベノミクスは、日本企業が収益を増給に回し、内需を刺激し成長を促すことを一大目標としている。しかし本書が明らかにした乱れは、アベノミクスの▽従業員の搾取▽雇用者と被雇用者の相互不信任――という最も大きな2つの問題を反映した。
本書は雇用者の従業員搾取に関する生徒の証言を詳細に記載し、日本企業が契約なしでアルバイターの学生を雇用し、休憩時間を短縮し、長時間労働とサービス残業を強制する現象を明らかにしている。ある例によると、カフェでアルバイトをする学生は毎日、朝早くもしくは深夜に11日連続勤務し、病気になり精神病を患ったという。別のケースを見ると、多くの外食店とコンビニは売り上げノルマを設定し、学生に残業を強いている。
理論上、労働力は日本市場において不足した資源だ。日本企業は従業員が5人不足しても、4人の応募者しか集められない。3分の1の企業は、正常な経営に必要な従業員数を維持できないとしている。しかし多数の企業が学生のアルバイトで不足を補っていることから、正社員は増給されなくても交渉の余地がない。日本の非正規雇用者が占める比率は、この10年間で上昇を続けている。アルバイターの数は昨年第4四半期に、労働力全体の38%に達した。
これよりも、信頼に関する問題が深刻だ。ある調査によると、会社を信頼しているとした従業員は4割のみだった。これは日本の国際社会におけるイメージ、日本人が持つ自国のイメージとかけ離れている。増給はアベノミクスの基盤だ。これは消費と労働改革を加速し、生産効率向上を促す。しかし従業員は現在、給与が増えないことを懸念し消費に消極的になっている。そのためアベノミクスの進展には遅れが生じている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月30日