麗澤大学特任教授 三潴 正道
縁起話はさらに進んで、干支の話に
「縁起って言えば、“ひのえうま”、って聞いたことある?」
「なんだい、それ」
「丙午、って書くの。この年に生まれた女性は結婚相手によくないとか---」
「へえ、みんな信じているの?」
「ええ、ネットで調べたら、1966年にはそのせいで日本では出生率が低くなっているの」
「中国じゃ、丁亥の年は金豚の年で縁起がいいからって出産ブームになったんだ」
「ブタ?」「日本じゃ、イノシシ年って言うけど、中国じゃブタ」
「へえー。でも、丙午とか丁亥って何のこと?」
「干支って知ってる?」「ええ、“えと”でしょ」
「中国では正式には天干地支って言うんだ」
「十二支なら知ってるわ。子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」
「十干は?」
「知らない」
「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸、さ」
「日本語で何て読むのかしら。甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)だって」
「中国じゃ、この十干十二支を組み合わせて、年を示したんだ」
「十と十二じゃ、ずれてしまわない?」
「だからいいんだよ。十と十二の最小公倍数は60、60年間は区別できるだろう?」
「昔は早死にだったから、生きてる間の年は区別できるわね」
「60年経ったら元の組み合わせに戻る、だから還暦さ」
「あっ、そうなんだ!初めて知ったわ」
「1911年は辛亥革命、辛亥の年に起こったから」
「そうなんだ!他にもある?」
「清末の戊戌の政変は戊戌の年」
「そういえば、日本史でも幕末に戊辰戦争っていうのがあったわ」
「野球で甲子園球場ってあるだろ。あれって甲子の年にできたんじゃない?」
「かもね。そういえば、日本で昔、壬申の乱っていうのがあったわ」
「ところで、なんで日本語は丙午を“ひのえうま”って言うのか調べてごらんよ」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月29日