日本・米国政府は10日、オバマ米大統領が5月下旬に三重県で開かれるG7サミットの会期中、広島を訪問することを発表した。オバマ大統領は、現職の米大統領として初めて広島を訪問することになる。
短期的に見ると、オバマ大統領の広島訪問は、日本の安倍晋三首相に予定外の政治「ボーナス」をもたらすと分析されている。安倍首相はこの勢いを借り、今夏の参院選に合わせ衆院を解散する衆参同日選に踏み切ることができる。こうして意表を突き、議席数を拡大し、改憲を促すことができる。
【巧妙な計算】
ジャパンタイムズは11日、安倍首相はすでに方針を固めているようだと報じた。衆参同日選に踏み切れば、自公両党による連立政権が衆参両院で3分の2以上の議席数を占め、改憲を促進することが容易になる。ただしこの計算は、先月の熊本地震によって棚上げにされた。これは自国が災難に見舞われている際に、「政治ゲーム」を弄ぶのかという国民の批判を抑えるためだ。
しかしオバマ大統領の広島訪問決定後、安倍首相の衆参同日選という考えが再浮上している。安倍首相にとって、オバマ大統領の広島訪問により、堅固な日米同盟関係をアピールし、日本の戦争の「被害者」としてのイメージを形成することができる。こうすることで政府が安保法を強行採決し、アベノミクスの悪影響が広がることによって募る国民の不満を和らげることができる。
日本の国会議員、元最大野党・民主党所属の玉木雄一郎氏は、「安倍首相が衆議院を解散する可能性は非常に高いと思う。衆参同日選を推進する絶好のチャンスだからだ。オバマ大統領と安倍首相が肩を並べるイメージ(広島に同時に姿を現す)は、安倍政権の支持率アップを促す」と話した。
【過去に成功例も】
一般的に、衆参同日選は現政権にとって有利だ。野党は往々にして対策が間に合わず、同日選が予想できたとしても、宣伝に力を入れ気運を高めることが難しいからだ。
歴史上、日本では衆参同日選が2回実施されている(大平正芳首相の1980年、中曽根康弘首相の1986年)。与党・自民党は衆院選で圧勝し、参院選の議席数を増やした。
安倍首相も衆院解散・総選挙の味をしめている。安倍首相は2014年11月、12月に衆院解散・総選挙を実施すると発表し、野党の不意を突いた。その結果、連立与党は3分の2以上の議席数を占め、野党は分裂を続けた。2012年の衆院選で「第3極」の勢力として台頭した政党は、集団崩壊した。安倍首相は首相官邸で10日夜、オバマ大統領が広島訪問を決定したことについて、記者団にコメントした。安倍首相が「心より歓迎する」と言った時に、声が震えていたのも無理はない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月13日