前回の衆院選で気を良くした安倍陣営は現在、来る参院選の前哨戦で、ためらうことなく再び「経済のカード」を切っている。
安倍首相と政府高官は連日、各地を訪れ選挙に向け気運を高め、「アベノミクス」をアピールしている。
しかしながら、「経済のカード」が再び日本の有権者に効果を発揮するかは、依然として疑問だ。うち最も大きな「不安定要素」は、未だに低迷を脱していない日本経済のファンダメンタルズだ。日本の財務省と内閣府が13日に発表した、今年第2四半期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数がマイナス7.9となった。前回調査時より大幅に低下し、2四半期連続でマイナスとなり、かつ2014年第2四半期の消費増税により2桁台のマイナスを記録した後で最低の水準となった。
日本の大企業はアベノミクスの効果を見せつけていたはずなのに、これほど景況感が低下していることは注目に値する。野党と輿論から注目を集めている中小企業は、まさに目も当てられない境遇だ。その景況判断指数は低下を続け、マイナス16.9となった。
共同通信が今月上旬に実施した、今夏の参院選の動向に関する全国電話世論調査によると、6割弱の回答者はアベノミクスに否定的な見解を示した。46.5%は見直すべきだとし、11.5%は撤回すべきだとした。
安倍首相は地方遊説中、アベノミクスはまだ道半ばであると述べた。安倍首相は、実感がないとしている人が多いことは知っているが、ここで止まれば数年前の状態に戻るので、アクセル全開で継続しなければならないと話した。
最大野党・民進党の岡田克也代表は、アベノミクスはすでに打つ手なしで、さらにアクセルを踏めば「空中分解」するとした上で、政策の間違いを謙虚に認めるべきだと批判した。
アベノミクスの最も批判されている効果は、貧富の格差の拡大だ。今年4月末に実施されたメディアの世論調査によると、回答者の57%はアベノミクスにより日本社会の貧富の差が拡大したと回答した。経済シンクタンクが発表した最新の試算によると、安倍政権発足以来、日本の大企業と中小企業の業績の格差が急速に拡大し、昨年までに19兆円の規模に達している。これは2012年の2倍弱で、過去最高規模となっている。一般世帯への具体的な影響は、所得増のペースを上回る増税で個人消費が冷え込み、貯蓄が減少し、低所得世帯が増加したなどだ。
業界内の専門家は、今年以来の円高により、日本の大企業の業績にも影響が生じ初めていると判断した。この状況下、現在も政策の恩恵を受けていない中小企業は、業績低迷を懸念している。
これらのさまざまな低迷を背景としながら、アベノミクスを祭り上げたところで、日本の有権者にいかほどの効果を発揮するかは、現時点では不明だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月14日