今年日本を訪れた外国人旅行者が1000万人を突破した。訪日客の需要を当て込み、東京・銀座では商業施設の再開発が相次ぐ。しかし円高進行などで中国人客らの「爆買い」は変調の兆しがあり、売れ筋も宝飾品などの高額商品から化粧品や生活雑貨にシフトしている。消費のけん引役に陰りが出ており、日本の小売業界関係者の不安は募っている。フジサンケイビジネスアイが20日、伝えた。
今年3月、東京・銀座の一等地に大型商業施設「東急プラザ銀座」がオープン。中核店舗はロッテグループの免税店だが、今月15日昼の来店客はまばらだった。ある女性店員は「この時間帯は団体客が少ない」と話すが、別のフロアの店舗関係者は「免税店の商品は空港などで買えるものも多く、客がなかなか来ないようだ」と打ち明けた。
9月には銀座4丁目交差点の一角に、日産自動車やソニーのショールームが入る商業ビル「銀座プレイス」が全面開業する。施設を手掛けるサッポロ不動産開発の生駒俊行社長は「商品を大量に並べる施設ではなく、爆買いが一服しても影響は少ない」と強気だ。周辺の松坂屋銀座店跡地には来年4月に大規模複合施設が開業し、競争が激化する。
銀座の盛り上がりをけん引してきたのは訪日客だ。今年6月5日時点で1000万人を超え、過去最速となった。
しかし訪日客の買い方は変化してきた。三越銀座店によると、4月以降は宝飾品や時計といった高額商品の売上高が前年同月比で減少した。一方、化粧品や子供服は好調だ。来店者数は1割ほど増えたが、客単価は2割ほど減った。
ある免税店の関係者は「定番のたばこや酒類が伸びない」と話す。訪日客はたばこなどを空港での待ち時間に購入し、日本での滞在時間は名所見学などの体験型消費を選ぶという。
全国百貨店の4月の免税品売上高は3年3カ月ぶりに前年を下回った。訪日客1人当たりの購買額は15.9%減。年明け以降の円高で、訪日客にとって日本での買い物が以前より割高になった。
中国政府が4月、国内での買い物を促すため、海外から持ち込む商品への関税を引き上げた。高級腕時計の場合、税率は30%から60%に上がった。百貨店業界では、爆買い需要はピークを過ぎたと厳しい見方も出ている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月21日