ソニーは2016年度連結業績見通しを発表した。熊本地震によりハード部門が重傷を受け、1050億円の損失を生むと予想されている。一方、ゲームや映像作品などの事業の売上は約8%の成長を見込んでいる。しかし全体的に見ると、熊本地震という災害がなかったとしても、ソニーは家電市場におけるシェア低下の運命を逃れられなかったはずだ。専門家は、市場のリズムに乗り遅れないことを肝心だと指摘した。ソニーを含む日本家電メーカーは、方針決定にかかる期間を短縮し、産業構造のモデルチェンジとアップグレードに取り組む必要がある。
強さを失った日本家電メーカー
ソニーは先ほど、熊本地震の業績への悪影響を発表した。イメージング・プロダクツ&ソリューション事業の機会損失が約450億円、部品事業が約600億円にのぼると見込んだ。ソニーの中国事業を担当する高橋洋氏は1日、メディアのインタビューに応じた際に、上述した損失は主に供給不足による販売機会の損失によるものであり、供給回復後に巻き返しを図りたいと表明した。
IT・電気通信アナリストの付亮氏は、「ソニーはコンシューマ電子機器事業の業績が伸び悩んでおり、熊本地震による重傷がなかったとしても、ソニー全体の業績は理想的とは言いがたい」と指摘した。
ソニーの2013−15年までの年次報告書を見ると、モバイル通信事業、ゲーム・ネットサービス事業、ホームエンターテイメント・サウンド事業が売上の中心となっている。ソニーのテレビ事業は、ホームエンターテイメント・サウンド事業の一部となっている。
産業・経済アナリストの梁振鵬氏は、「ソニーのテレビとスマホの世界市場における競争力が低下を続けている。相対的に見て、設備部品とゲームは小規模な産業であり、ソニーの発展を左右するのはテレビ・スマホ事業だ。ソニーのスマホは、アップルやサムスンなどの大手に大きく遅れており、テレビ事業は川上の中心的な産業チェーンを掌握していない。液晶パネルの研究開発工場を持たず、産業の競争力が不十分だ」と分析した。
梁氏が提供した市場リサーチ会社・北京中怡康時代市場研究公司のデータを見ても、ソニーの中国コンシューマ電子機器市場におけるシェアが低いことが分かる。2015年末時点では7%だったが、2016年第1四半期は5.20%に低下した。18%のハイセンス、スカイワースの15%と比べると、大きく遅れを取っている。
中国家用電器商業協会副理事長兼秘書長の連四清氏は、「世界経済一体化の影響、中国家電メーカーの猛追により、日本製家電の従来の強みが失われつつある」と話した。