バーチャル世界を通じて童心に帰る
日本人がピカチュウに熱狂する大きな理由の1つとして、日本人は童心をなかなか忘れないことが挙げられる。ピカチュウの父と言われる田尻智氏によると、彼の子供時代に友だちと昆虫を捕ったり交換したり、昆虫同士で戦わせたりした記憶が、ピカチュウの物語の由来になっているという。「友だちと遊び、大自然とたわむれ、昆虫やペットを飼う。これらは、戦後の平和な環境で生きてきたほとんどの日本人が持つ共通の美しい思い出だ」。生活のリズムが極めて速くなり、ストレスも大きな現在の日本社会に生きる人々は、このようなバーチャル世界を通じて童心に戻り、自由な世界に生きる快感を求めたのだ。同時に、ピカチュウの物語に出てくる、収集可能な莫大な数のポケモンは、日本の伝統文化にある豊富な「妖怪物語」が基になっている。日本人にマッチした神秘世界と子供時代の思い出が結合しているのだ。ポケモンは日本人の持つ「ありきたりだけど大切な幸福感」を満足させている。そして、コレクション収集やペット飼育といったやり方で、このような幸福感をさらに深めているのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月15日