右翼による天皇「神格化」を防止
劉氏は明仁天皇のメッセージの2つ目の注目点について、次のように述べた。
明仁天皇は何度も「憲法」に言及し、天皇の現行憲法における「象徴」としての地位を強調し、「国政に参与する権限がない」とした。
自民党が先ほど発表した憲法草案では、「天皇」の条項に「国家元首」という説が追加されていた。この説は、戦前の大日本帝国憲法に見られた。明仁天皇は現行の憲法と、天皇が単なる「象徴」でしかなく、「国政」の機能を持たないことを何度も強調したが、これには明らかな狙いがある。
明仁天皇のこの発言は政治的にまったく申し分ない。右翼・保守派が将来的に天皇制を利用し、国家神道を復活させ、天皇を再び神格化する可能性を断った。
日本では、天皇は公然と自分の政治的意見を口にできない。しかし極右勢力による改憲、歴史認識の歪曲に反対する天皇の立場は、ほぼ「公然の秘密」となっている。
法政大学の趙宏偉教授は、新華社のインタビューに応じた際に「歴史問題で、明仁天皇は侵略の歴史を否定しようとする安倍政権に対して、無言で輿論の圧力をかけ続けている」と指摘した。
趙氏は「明仁天皇は近年、発言の機会があれば歴史問題に必ず言及していた。明仁天皇は昨年の談話で、1931年以来の日本の戦争の歴史を忘れてはならないと特に言及した。同年の9月18日、日本は中国侵略を開始した。天皇の日本社会における威光と影響力を考えると、これらの発言は安倍政権への圧力となっている」と述べた。
「慶応大学の山田辰夫名誉教授は、現在の日本には天皇派と安倍派があると指摘したことがある。天皇の今回のメッセージには大きな意義があり、日本の政治に及ぼす今後の影響に注目すべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月9日