それから、より広範な東アジアにおいて、米印などと共に中国をけん制する「アジアの民主と繁栄の弧」を構築している。日本は価値観で連盟を形成し、東アジアで中国を孤立化させようとしている。これは米国の地政学・経済戦略の目標と一致する。
中日間の構造的な食い違いを解消するための効果的な自己管理(歴史問題、釣魚島問題)が、日本にはできていないようだ。しかも日本はアジア太平洋のトラブルメーカーで、南中国海問題でいちゃもんをつけ、地域内で中国に対抗するという茶番に不可欠な千両役者になっている。西太平洋における中国けん制のゲームにおいて、日本は主役ではないが掛け値なしの「第二の主役」だ。中国からすれば、日本はもはや信頼できない悪の隣人だ。中日関係の悪化も、安倍政権と関係している。
そのため中日の首脳会談は、両国の食い違いに対する潤滑油としての効果を失っている。安倍首相が中国の首脳と握手した後、別の国際的な場において中日関係のトラブルメーカーになるからだ。
そのため習主席は安倍首相と会談した際に、日本側は南中国海問題で言動を慎み、中日関係の改善の妨害を避けるべきだと強調した。G20杭州サミット後には、ラオスで東アジアの一連のサミットが開かれる。これは中日関係が試される重要な場だ。安倍首相が言動を慎めば、杭州の中日首脳会談の意義が自ずと明らかになる。安倍首相がこれまでどおり、南中国海問題で中国に反対する声をあげるならば、中日関係はこれによりいっそう冷え込むことだろう。
(筆者:張敬偉 チャハル学会研究員、中国人民大学重陽金融研究院客員研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月7日